図工は本当に苦手だった、平八です。
今回は圧倒的ぶきっちょ中年の私が、2018年4月20日発売されたNINTENDO LABO VARIETY KITについてレビューします。
まとめ
構成が後先になりますけど、まずこのゲームの長所と短所をまとめました。
長所
・手軽に段ボール工作が楽しめ、それを使ったゲームが楽しめる。
・チュートリアルが非常に丁寧なので、普段工作をしない人でも安心。
・好奇心をくすぐられ、物事の仕組みを自然な流れで理解できる。
・6~10歳くらいの頭の柔らかいお子様に特におススメ。
短所
・思っている二回りはデカいし、重い。
・工作物が結構嵩張るので遊んだ後の置き場所に困る。
・十中八九、最後はパパママの手作りになる。
後述しますけど、若いうちにこういう「自分の手を使って仕組みを頭で考えて、また手を動かす」ゲームに触れることはとても価値があると考えます。
途中から結構難しい内容にも踏み込みますので、意識しなくても頭を柔らかく出来る子供の方がガンガン吸収できると思うんですね。
ただ、工作の部分が結構時間かかるので、恐らく最終的にはお父さんお母さんが手伝うことになるのは予想できるし結構置き場所に悩みます。
また、以下の記事では工作物のうち「リモコンカー」と「ピアノ」について取り上げています。
工作物のインプレッションに関しては「自分で体験したい」という方もいらっしゃると思いますので、その場合「リモコンカーたーのしー!!」「ピアノ製作(約240分)」は飛ばし読みして頂いた方が良いかと思います。
空母みたいな箱が来た
このゲームのデモ映像をチラッと見た時、私はピンと来ました。
「これは…来る!う、売り切れる前に押さえておかねば!」
先走った結果、VARIETY KITとROBOT KITを両方ニンテンドーショップで購入してしまったのです。
本体購入時に味わった苦い経験から、やや過敏になっていましたね。
結果、こんなドカベンが届きました。
比較対象があればもっと分かりやすかったんですけど寸法は 48 × 36 × 18(単位:cm)です。
コレが届いた時私が真っ先に思ったのは新しい玩具にふれる高揚感ではなく「しまった置き場所どうしよう」でした。
想定外のデカさ。
流石に一気に買うのは勇み足だったか…?
い、いや、とにかく開けてみよう。
おお。
Switchはカートリッジの差し替えが結構面倒なので、DL版で買える時は大体そっちにしてます。
これを中古で売る機会とか多分ないでしょうし。
ソフトの容量は現時点で1.2ギガ程度だったので(アップグレードの可能性ある?)普通のインターネット環境ならば造作なくダウンロード出来るでしょう。
残念ながらうちの環境は祖父の小便並みの勢いなのでたっぷり時間を費やしたことを申し伝えておきます。
さて、開封です。
おおお。
あ、これはいい。
図工超ニガテだったけどテンション上がって来た。
※次章からは製作工程および操作性などゲームのネタバレを含みます。
あなたのファーストインプレッションを損ねてしまう可能性がありますのでご理解の上、お読み下さい。
リモコンカーたーのしー!!
最初にJoy-Conホルダーを作って指ならしした後は、一番製作時間の短いリモコンカーを作ってみよう。
余談ですがこのゲーム、プレイする時にアイテムが射出される変な演出があります。
箱から2枚ほど段ボールを取り出して、Switch本体のチュートリアル通りに段ボールをたたんで行くと結構簡単に作れます。
で、Joy-Conを写真のようにぶっ刺すと完成。
本体にもチープなコントローラを装着します。
なんかやっぱり安っぽいなあ…と苦笑しつつ、動かしてみることにします。
何々?…「平らな床で動かして下さい」か。
はいはい、廊下で操作してみましょうかね。
(ヴィィィィィィィ…)
フホォ!!
なにこれ、何コレェェ!!
あ、そういう風に動くものだったの!?
Joy-Conの圧倒的バイブレーションがハルキゲニアみたいな足に伝わり、振動を利用して前進しているのです。
バックは出来ませんが、片方だけを動かして旋回させることで方向転換します。
へえ〜ほお〜…しかしこの中央のボタンはなんなんだろ…
(ガシャン)
何コレェェェェ!!
オープンして謎のパネルが現れたぁぁぁ!!
スゲー!!
中年が興奮しすぎだとは思いましたが、説明書がない状態で適当に操作してたら新しい機能が見つかったあの高揚感を想像していただければと思います。
ところで中央の緑色の映像は、IRカメラです。
自分も知らなかったのですが、Joy-Conの底部にはカメラが装着されており、暗部でも撮影可能ということがチュートリアルで明かされます。
こういう小芝居的なやつがね。
ひとしきり動かした後はSwitch画面上のチュートリアルコーナーで「何でそういう風に動くのか」「今使われていたのはJoy-Conのどの機能か」を教えてくれます。
一応プレイヤーキャラがラボの一員となり各ガジェットを学んでいくというストーリーらしきものはありますけどどれから作っても問題はないようです。
しかし暗闇でもカメラが動作するってすごいよなあ。
子供が押入れ探検するのに使いそう。
ピアノ製作(約240分)
さてリモコンカーと新たな仲間たちとの語らいが済んだので次は何作ろうかと思案します。
ここから先はどれもこれも結構時間かかるから。
何かちょちょっと作れたリモコンカーから急に難易度上がった気がするけど…お、アクアリウムが遊べるのか。
どんなゲームかはこの時点で全く分かりませんが、何やらプレイするにはピアノが必要な様子。
よろしい、作りましょう!!
(一番底の段ボールを取り出しながら)
細かい過程は飛ばしますが、結局2日がかりの約4時間かかりました。
目安時間が210分なのでやや長めにかかりましたが、オッサンは集中力がもたなくてちょくちょく休憩を挟むのでお察し下さい。
ただ、作成チュートリアルが本当に丁寧で、物体を回して別方向から見たりズームしたり逐一3Dで確認できるので時間はかかっても自分が何をやってるのか分からなくなるようなことはありません。
ここのところは流石というか、子供が作ることも十分に織り込んでいると実感しましたね。
あと私から申し伝えておきたいのはシールを一度貼ってしまうと貼り直しはかなり難しいのでシールを貼る時は細心の注意を払うようお願いします。
ここは材質が紙である宿命でしょうか。
ピアノ本体も作るの苦労しましたが、こんなこと出来るの?という驚きがふんだんに盛り込まれています。
録音、音階変更など見た目とは裏腹に細やかな機能が備わっていますが私が一番気に入ったのは「オッサンっぽい音の演奏ができる機能」ですね。
ネコボイス演奏機能は普通に可愛かったけど、パンチの強さではオッサンに一歩譲りました。
これがアクアリウム…だと…?
ピアノも一通り触ってみた後で本来の目的であるアクアリウム機能をいじってみることに。
フムフム、最初は水槽に何もいないけどカートリッジを差し込むことで魚が生まれるのか。
(サクッ)
…何だこれ。
ヒモじゃねえか。
しかも後から目をつけて下さいってどういう意味だよ。
…イトミミズみたいに体を揺らしながら向こう行ったよ…
…
…
よし、寝るか。(現実逃避)
それは冗談にしても、何か思ってたのと違うのが現れて困惑しきりです。
うーむ……?
これ、カートリッジを読み込むのにカメラを使ってるっぽいな。
…ということは、カートリッジの形状が変わればこの化け物みたいな魚の形も変わる…?
やってみるか。
というわけでカートリッジにハサミを入れてみました。
工作が本当にヘタクソなことを皆さまに晒してしまい屈辱を感じております。
では、再度読み込みを。
…
おおっ!
やってみるもんだなあ。
勢いでカートリッジにハサミを入れちゃったけど、似た形状の厚めの紙を使えば代役は出来そうです。
もうちょっと大きく切れば目のサイズも程よくなりそうですね。
任天堂の真の目的
このように紙工作とゲーム機を融合させて楽しむ本作ですが、ここまでのことはあくまで入門編で、ここからがこのゲームの本番だという予感があります。
というのもキャラクター達のチュートリアルでもやけに「新しい遊びを組み立ててみよう」と押してくるなと思っていたのですが、決定的なのは地下研究所です。
このマンホールなんだろ?とクリックすると何か今までとは毛色の違うチャレンジが現れるのですが、「これってつまりはプログラムのレクチャーだよね?」と思いました。
これまでは他人の用意した段ボールを組んで、他人の用意した設定の中で遊ぶという流れでしたが、更に一歩進んで「ここをタッチすればこういうリアクションを取るよう設定する」ということを自分で決めて行う。
NINTENDO LABOの製作スタッフはこのゲームを手にした子供達にそこまで辿り着いて欲しいと思いつつ作ったのではないかと思っています。
段ボールによるクラフトとゲームはそのための布石ではなかったでしょうか。
そして物事が何故そうなるのかという仕組みに興味を持ち、仕組みを作り出すことに快感を覚えた子供達はやがて長じて次世代のクリエイターになっていくかも知れません。
またそうならなかったとしても仕組みを考える力は決して無駄にはならないと思います。
そういう意味ではこのゲームは私のように成人してから相当の年月を経てしまった者がプレイするより年の若い、出来れば10歳前後の子供達に驚きと好奇心をもって遊んでほしいです。
まだまだ若い者には負けないつもりではいますけど、どうしても頭が固くなってきたことを実感するというか、昔のように砂が水を吸う如く物事を吸収する特性は相当薄れてきていると感じています。
未来ある若者達の可能性を切り拓くために作られたゲーム。
私のNINTENDO LABOへの評価はひとまずこう締めさせて頂きます。
2030年の大人(クリエイター)たちへ
株式会社ナムコの名キャッチフレーズのもじりです。
2018年現在このゲームに触れる若者達、幼子達が大人になる時を見据えているとするとLABOスタッフの発想は素晴らしいと思います。
LABOで遊んだ子供達が大人になり、その中の何人かは新しいクリエイターになってまた子供達を楽しませるゲームを創り出す。
いい未来予想図じゃないですか。
流石にその頃になると私はアラフォーどころかアラフィフなので、そもそもこのゲームの対象年齢には含まれてないよなあとは思いますが、何か近頃は寿命百年とか囁かれています。
ということは2030年になってもまだ人生が半分も残ってる、なんてことになっているかも知れません。
であれば、私のようなおじんもまだまだ新しいことにチャレンジしていいかしらと頭をかきながら遊ばせてもらっております。
さて…
LABOからの贈り物はもうひとつあるんですよね…
次回「中年、大地に立つ」