東京なんて高等国民の住む場所という認識、平八です。
今夜は埼玉県民が誇りを胸に立ち上がる一大スペクタクル、魔夜峰央先生原作「劇場版翔んで埼玉」のレビューです。
※本編はネタバレを含みますので未見の方はご注意をお願いします。
東京以外総ディスりの皮をかぶせた少年たちの成長物語
むしろあそこまでやったら東京もディスってるような雰囲気ありましたけど、それはそれ。
しかし昨今の社会情勢を考慮したのか、冒頭「実在の人物、地名とは関わりなく~云々」というお馴染みのテロップが。
そして何と原作者の魔夜峰央先生がスクリーンに登場し、あくまでフィクションであると念押し。
更には本編は「これから娘の結納に向かう埼玉在住の家族が移動中に聴いている、都市伝説を紹介したラジオ番組」という体裁をとる。
そこまでやるくらいならもう架空のホニャララ国とかにすれば良かったんじゃないかと思わなくもないですが、本編を観て頂けるとお分かりの通り、やはりこの物語は埼玉が舞台でなければいけないのです。
そしてCMとかでも地域ディスを強調してはいますがこの物語の本筋は偏狭な価値観に染まりかけていた少年の成長と巣立ちなのです。
偉大な父の元で何不自由なく暮らしていた少年が芯の強く気高い美青年と出会い、流転する運命の中で己の価値観を激しく揺さぶられ、視界が開けていく姿は瑞々しい若者達の青春ストーリーとも言えるでしょう。
それはそれとして埼玉をはじめ、他の県にも流れ弾のように降り注ぐディスりがテンポよく面白すぎるので結局声を殺してずっと笑ってました。
原作はちょっと前に読んだのですが、だいぶ原作と変えて来てるなという印象があります。
それでも独特の魔夜峰央節というか、ボソボソッと喋るセリフがいちいち面白かったのは脚本力の賜物でしょうか。
あとやっぱりGACKT様がズルい。
80年代のコメディ映画みたいなことを美形が真剣にやってるってだけでもう面白い。
個人的に心の中で爆笑したのは埼玉県人でないことを証明するためにGACKT様が草加煎餅を踏むことを強要されるシーンで、背景にある教会の屋根に立つ十字架がチラチラ見えてるのがもう本当に卑怯だった。
とんでもなくバカバカしいシーンなのに、これの元になった「踏み絵」を連想してものすごく複雑な気持ちになるけど結局絵が面白すぎて笑ってしまう。
他にも地域に密着したコミカルなシーンが盛り沢山ですので、特に関東圏にお住いの方で冗談の通じる方には強くお勧めしたい映画です。
あとちょっとボーイズラブ描写が含まれますのでそこが苦手な方はご注意を。
言うても魔夜峰央原作につきご了承下さいてなものですが。
関東の地理を知ってる方がより面白い
前段で関東圏、と前置きしたのは、関東の地名多すぎて関東圏以外だとピンと来ないネタが多すぎるんじゃないかと思うのです。
もちろん所沢の扱いのひどさや埼玉風景のディフォルメされたエグいビジュアルだけでも面白いので本編だけでも十分に楽しめるとは思うのですが、劇中で出て来た「常磐線で千葉を縦断、茨城に抜けてから埼玉を目指す」ネタなどは土地勘があった方が面白いだろうと思いました。
ここに前述した「何故リスクだらけで予防線を二重三重に張ってまで実名を使用したのか」の理由が含まれているような気がしますね。
仮にファンタジーの架空の地名だと腑に落ちかたが全然違ったろうし素っ頓狂な描写に対して「なわけねーだろww」という大らかな笑いも起きないでしょう。
やっぱりこの映画、最終的には視聴者の寛大さが評価を分けるような気がします。
ちなみに私の視聴した回では群馬全景であまり笑いが起こらなかったので流石にファンタジー描写が行きすぎたかも知れません。
ニュース映像で群馬の様子が小出しにされてる時の方がウケてましたね。
あと何故あんなに山田うどんの店舗やのぼりが映り込むのか、にすぐピンと来るのは関東圏の風習に詳しい人だと思います。
関西圏風に申し上げると「いやに丸亀製麺が主張してくる」ようなものとお考え下さい。
劇場に響くほがらかな笑い
実際私の観た劇場では地名を巧みに織り込んだ細かいボケにそこかしこからクスクス笑い声が聞こえて来ました。
やっぱり具体的な地名を連続で出してツッコミ不在のままイジっていくところがウケてましたね。
結局劇中の人物がこのバカバカしい世界観を真剣に生きてるところがミソだと思うのですよ。
ただ、うちのスクリーンで最大級の笑いをかっさらっていったのはとある重要人物の父親が◯◯◯◯◯(伏せ字)だったところでした。
バカウケと言っても過言ではない。
こうした他のお客さんの反応を楽しめるのも劇場ならではですね。
コメディらしく和やかな空気に包まれる劇場も、ラストバトルは実にアツい見所がありみんなも静かに見入っていました。
大体二時間ぐらいの映画のはずなんですけど終始楽しかったので後からどっと疲れが出て来ましたね。
あと、うちのところでは二日目なのにもうパンフレットが売り切れていて購入できませんでした。無念。
しかし2019年は「パタリロ!」の実写版も公開(6月28日全国公開)されたり魔夜先生フィーバーでしたね。
「パタリロ!」も何か口裏を合わせたのか、埼玉いじりを少々含ませています。
レビュー記事はこちら(↓)
まとめ
CMかトレーラーを観て、笑って流せそうになければ観ない方がいい。
外部リンク:公式サイト
全世界を席巻した<壮大な茶番劇>まさかの第Ⅱ章、開幕。今度は東西対決!関西の皆様 飛び火してすんまへん。埼玉の皆様 続編…
関東圏内にお住いの方は思わぬ形で自分の住む街がディスられる可能性がありますのでその腹積もりだけはしておいて下さい。
西東京とか関係ないだろと思ったら急に来るので。
しかしまあ、なんだかんだあって最終的にはおらが町を大事にしよう、で丸く収まるので視聴終了時のあと味は悪くありません。
あと私もファンの岡山天音君がどこかに出ていたらしいのですが全く気付きませんでした。
2回目観る時はその辺にも気を配りたいと思います。
天音君が出演した映画のレビューはこちら。(↓)
ところで「この記事のアイキャッチってなんなの?」と思われた方もいらっしゃるかと思いますが、伊勢谷友介さんが熱演した誇り高き千葉県民・阿久津翔の衣装です。
とある劇場を訪問した際に偶然置かれていたので思わず撮影してしまいました。
この時伊勢谷さんメインのポスターも展示されていて「ようこそ。おもしろ半島ちばへ」のキャッチコピーの主張が強すぎて噴きました。
この映画埼玉メインなんだけど…。
続編観てきました!!(2023年11月23日追記)
色々あったけど遂に公開された「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~」を視聴してきました。
前作をちょっと超えるスケールと予算が増えたのか前より豪勢な画面作りは観てるだけで疲れましたが満足感が高かったです。
詳細なレビューはこちら。
あんなにキッチリ終わった作品の続編やって大丈夫…?と前日まで思っていた平八です。 今夜は埼玉ラブに溢れた怪作の続編「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~」のレビューです。 ※本記事は若干のネタバレを含ますので、[…]