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それは滋賀だろ!「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~」レビュー

  • 2023年11月23日
  • 2023年11月23日
  • 映画

あんなにキッチリ終わった作品の続編やって大丈夫…?と前日まで思っていた平八です。

今夜は埼玉ラブに溢れた怪作の続編「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~」のレビューです。

 

※本記事は若干のネタバレを含ますので、未視聴の方はご注意をお願いします。

 

冒頭からミーちゃん登場

 

前提の話をすると、原作の範疇はもう前作で完結してるんだからこれ以上の責任をミーちゃん(魔夜峰央先生の愛称)に背負わせるのは酷じゃない?

 

と劇場では思ったのですが、購入したパンフレットを読むと結構ノリノリだったご様子。

 

しかも家族総出で。

 

冒頭のダンスシーンは正味のところ誰が誰だか分からなかったのですが、スタッフロールを見たら山田姓で皆様ご参加されていたご様子。

いやまぁ…本人達がそれでいいなら外野から申し上げることはないのですが…

しかしこれまでにも魔夜先生原作の実写映画は「翔んで埼玉」「パタリロ!」と観てきましたが、どっちにも出演してるしシャイボーイと噂のあった先生はどこへ行ってしまわれたんですかね?

 

関西に自由と人の尊厳を取り戻す物語

 

前作で通行手形制度を撤廃し、埼玉の意地と誇りを守った麻実 麗が、ひとつにまとまり切れないでいる埼玉の結束を再び高めるべく遠く和歌山の地に白砂を求めに旅立つという初っ端から冒険の予感を感じさせます。

サラッと未開の地とか挨拶がわりに和歌山がディスられてたような気もしましたが、あまりにさり気なかったので私の聞き間違いかもしれません。

その過程で関西の地にも酷い差別と偏見があることに向き合い、また同志達を救うために巨悪である大阪府知事・嘉祥寺 晃との戦いに身を投じるというのが大まかな流れです。

割と最初から最後まで冗談みたいな絵が続くのですが、そういった中で役者が真剣に生きて葛藤する様を演じているのが今回もキモだったというか、扱い方によっては重たくなってしまうテーマを飲み込みやすく作り手が配慮しているというのは感じました。

最初に書きましたようにちゃんと終わった作品の続編というものに一抹の不安はあったのですが新しい要素も盛り込みつつ話の内容も前作よりスケールアップしていましたので不安自体は解消されましたね。

色々あってもクライマックスを埼玉絡めて来るところは「うまいな」と思わされましたし。

あのクライマックスシーンは笑いがこらえ切れなかったのですが、もしこれから劇場に観に行くことを検討されている方がいれば早めに足を運ぶことをお薦めします。

このSNS隆盛の時代、どこでネタバレされるか分かったもんじゃないしあのシーンは前情報なしで劇場で観た方が絶対面白い。

正直これを書いてる私でもあのバカみたいなシーンについて語りたくてたまらない。

本当に馬鹿馬鹿しいことやってるのにやけに絵作りに力が入っていて、美術スタッフの本気度を感じるシーンでした。

個人的には和歌山に漂着してしばらくはちょっと冗長に感じましたけど、GACKT様が大阪人化しかけているあたりで色々噴き出してしまい一気にのめり込みました。

なんだよあのアゴ。

ああいうところが面白いのが本当にズルいわ。

他の俳優さん達もやけに関西弁が流暢になっていたのは方言指導の方々が優秀だったのでしょうか。

 

情報量がとにかくすごい

 

なので、復習のためにパンフレットを購入しました。

前回はそもそも劇場で売り切れていたので、今回は幸運でした。

パンフレットの冒頭に「ネタバレが含まれますので映画を観てからご覧下さい」の文言がありますが、その通りでさっきお話したクライマックスのアレについて結構な頻度で触れられています。

観終わった後の素直な感想として「製作チームがすごく頑張って小道具や小ネタを作ったのは分かるけど、頑張り過ぎて一回観ただけでは全部把握しきれなかった」というのがありましたので確証が持てなかったところとかは特にパンフレットに頼っています。

パンフレットの中ほどには用語集をつけて特殊用語や見逃しそうな小ネタのピックアップを掲載し、再視聴のお供にと痒い所に手が届く作り。

大阪人化第〇形態とかは何となく雰囲気で流しましたけどそのへんもちょっと触れたりしてるので。

それ以外にも地理に疎い関東ファンのために関西ルートマップを掲載したり、逆に関西ファンにはよく分からないであろう埼玉鉄道の特色を掲載したり、本作を理解する上では重要な資料になっていると思います。

あまり色々ネタバレする方向は控えますが、特に私の心に爪痕を遺した「高熱でうなされている時の悪夢のような粉物工場」とか「うねる姿があやしさ120%の粉の民の舞」とかインパクトのあるシーンが次々と押し寄せて来るので「10分前は何があったっけ…」とメメントの主人公みたいなことになる映画でしたね。

なんか前作も世界に公開したらしいんですけど、今作も上に挙げたシーンを外人さんが観られたら「Jesus…」「コレガOSAKA…」と絶句すること間違いないかと思います。

世界の奇祭のワンシーンかと思ったし。

 

絶妙なバランスを維持した作品

 

観賞中も思いましたけどこんなことしてる割には(だからこそ?)各方面への気の遣い方が尋常じゃないし逆に嘉祥寺夫妻と京都市長の退場時は「そこまでしなくてもいいのでは?」と思えるくらいのわざとらしいフォローっぷり。

でもあれくらいやっといた方が後々のことを考えると必要なんでしょうかね。

前作からの視聴者へのサービスも怠っておらず「この流れは…アレが来るな…ハイ来た!!」と手を叩くシーンもありましたし、阿久津をあんな形とは言え出演させたのもスタッフの想いが込められているようで良かったです。

どうなったのかを頑なに言わないのは若干「いじってない?」と思いましたが。

ともあれストーリーも絵の強さも大変満足のいく作品に仕上がっていました。

竹内監督は「毎日が最高の文化祭だった」と本作の撮影を振り返っておられたようですが、もし「三度目」が実現するのならばまた劇場に足を運びたいと思いました。

 

あえて不満点と言えばやっぱり百美も来て欲しかったというのはありましたしね。

 

白い粉に侵食されるところはメチャ面白かったですけど。

 

前作のレビューはこちら

 

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