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アラフォーが語る劇場版「鬼滅の刃・無限列車編」感想ほか

オールドタイプのジャンプ読者です、平八です。

 

今夜はついに公開された劇場版「鬼滅の刃」無限列車編の感想とアラフォーのおじさんが鬼滅の刃について想うことをとりとめなく書き記します。

 

※展開に関して多少のネタバレを含みますのでご注意下さい。

 

公式サイト:

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煉獄さんフォーエバー

 

最初はテレビシリーズでヒットした作品の続きを劇場版に持って行くのはどうなんだろうと懐疑的でした。

しかし炎柱・煉獄杏寿郎を鮮やかに視聴者の心に焼き付ける、という目的からするとこれで良かったのでしょう。

ほんの2時間ほどで煉獄杏寿郎がどれほど強く、優しく、誇り高かったかを存分に味わえる内容だったと思います。

というか気がついたら映画が終わっていた、となるほど濃厚な内容でしたので序盤の弁当をドカ食いする奇人の印象は終盤には頭から抜け落ちてました。

初見の方は煉獄さんの印象が目まぐるしく変わったのではないかと思われますが、いかがでしょうか。

先の方まで内容知っててもあの目はちょっと不安になるよな。

そして前々から薄々思ってたのですが、今回改めて映画を観て原作者の吾峠呼世晴先生は「重荷を背負った人が懊悩する」姿を描くのがお好きなんじゃないかと感じました。

優しい母を亡くし、かつては情熱を燃やしていた父も過去の書物を読みあさる無気力な存在になり果て、迷い多き幼い弟の前では弱音も吐けない。

また鬼殺隊の柱のひとりとして重責に耐えなければならない。

羅列してて思いましたが本当に杏寿郎さんしんどそう

なので、苦境に立たされた時病床に伏した母の言葉を思い起こして奮い立つのはきっと今までにも何度かあったんだろうなと思うと余計に辛くなってきます。

自分は強く生まれたのだから母の教えの通りに人を守るために力を使わねばならない。

でも父の言う通り自分は大したものではないのかも知れない。

そうした逡巡を心の炎にくべて決して表には出さず強くあろうとしたところが煉獄さんの一番の魅力だと思います。

なんだかんだで長男は大変なんだよ。

長男と言えば炭治郎も良かったですよね。

無意識空間がどこまでも澄み渡っていくところが清々しくて。

あそこは私も劇場で目を見開きました。

後に続いた同期の2人の心が迷宮と深淵だったことを思うと「やっぱり主役は彼しかいないな」と納得せざるを得ません。

つうか善逸はいずれ禰豆子を迎え入れるつもりなら無意識空間ちょっと綺麗にしとけやと思いました。

ほぼほぼ満足な仕上がりだったのですが、あえて気になった点を挙げるとすれば煉獄さんの存在が大きすぎて善逸が割を食ってたところですかね。

私善逸好きなんでずっと気になってました。

夢の中で禰豆子と幸せな跳躍とかありましたけど大スクリーンでもうニ、三発は映画オリジナルの霹靂一閃見たかったです。

 

伊之助に関しても特に好きな場面がありまして、熾烈を極めた戦いが終わり優しい朝日が昇る中、最期の力で穏やかに語る煉獄さんの遺言を受けて伊之助が託された者の心意気を叫ぶところが格別心に響きましたね。

あの子時々急に知能レベルが上がっていいこと言うよね。

 

劇場を彩るポスターたち
ムー、って君

 

本編と連動した仕掛け

 

猗窩座殿がすっ飛んできてからのバトルはそれこそ呼吸を忘れるくらいの苛烈なものだったのですが、特に印象深かったのは「破壊殺・羅針」の発動が息を呑むほど美しかったことですね。

アニメだけを追っかけてる、つまり先の展開を知らない方はここですごく引っ掛かったんじゃないかと思うんです。

邪悪に与する者が用いるにしては綺麗すぎる技なのではないかと。

これが先々の展開を知ってると「そういうつもりでこんなに華麗に表現したのだな」と納得できる。

おそらくアニメスタッフの方々もその点考慮して演出したと想像します。

単行本未読の方に配慮して多くは申しませんが、吾峠先生はきっと猗窩座殿が大好きです。

結構先の方で猗窩座殿の凄惨な過去が明かされるエピソードがあり、猗窩座殿の心情を交えながら事実を淡々と記述するのですが単行本のおまけページで文字でびっしりそのシーンの前後の事細かな描写が入るのを目の当たりにすれば「なにこれ…怖…」となること請け合いです。

そこのこぼれ話だけで2ページ分あった時は「どんだけ細かく考えてるんだこの先生は」と背筋が寒くなりましたが、逆にこの事細かさが本編の描写を支える土台になっているのかも知れません。

それはさておき、ひとまず一番記憶に残った猗窩座殿の術式展開を挙げましたがもう何回か観直すとまた新しい発見があるように思えます。

次に印象深いのは炭治郎に辛辣な悪夢の中の家族かな。

演技が普段と全然違って声優さんすげえと思いました。

 

おっさん目線の鬼滅の刃・大ヒット考察

 

私のように年食った漫画ファンあるあるですが、新しく出て来た作品を「なんかどっかで見たことあるなあ」とデジャブ判定を自然にしてしまいがちです。

それなりに漫画を読んでると今までの蓄積から類似点を勝手に見出したり「はいはいこういう方向性ね」としたり顔で語ったりするんですね。

自分で言ってて軽く背中に汗が流れました。

正直な話、鬼滅の刃も主にジャンプ漫画から色々と影響を受けていると感じる点が多々あります。

鬼(というか吸血鬼)を退治する特殊な呼吸法の剣士、敵も味方も階級があり主人公は下位の階級ながら上位者と共闘したり反発しながら成長する等々。

古からのジャンプ読者なら各々作品名が頭に浮かんでくることと思います。

しかしそうした「ネタかぶり」を端々に感じつつも鬼滅の刃は面白い。

それは本作が過去作の影響を受けたというだけでは終わっていないからでしょう。

古くは「宇宙家族カールビンソン」最近はロケットに熱を上げていることでおなじみのあさりよしとお先生が仰っていた「ウケるストーリーは決まっているので、表面をアレンジしたりデコレートする能力が重要であり個性の見せどころである(一部抜粋)」というお言葉が核心をついているように思えます。

異形の存在になった親しい者を人間に戻すために旅立つ主人公、ってプロット自体はサザンアイズとかでもありましたしね。

しかしその王道のプロットへ加えられた吾峠先生の個性が多くの読者に刺さったのが大ヒットに繋がったと考えます。

で、その個性とは何かを一言で表すのは非常に困難でありそんなことが出来たら俺が大ヒット作家になってるわという思いもあるのですが吾峠先生がこの物語で一番描きたかったのは人が互いを想い合うというある種当り前のことだったんじゃないかと思います。

当たり前すなわち普遍的なテーマだからこそ受け入れやすかったというか。

それを何かこういい感じに味付けしたのが鬼滅の刃なのです。

ざっくりしすぎててすいません。

自分はというと、そもそも姪が大ハマリしているという情報を聞きつけて単行本を買い始めたのですが本格的に持って行かれたと思ったのは第24話「元十二鬼月」(第3巻収録)の自分を鼓舞する炭治郎を見た時です。

それまでも面白かったから読み進めていたのですが、この回で「あ、俺この漫画好きだ」と確信しましたね。

セリフ回しに絶妙なおかしみがあったり締めるところはきゅっと締めるメリハリのよいネームが好きなのかも知れません。

だいぶ先のやり取りですが「悪い見てなかった」「ぼんくら!」のテンポの良さとか言葉のチョイスがすごい好き。

 

多分もう一回は観に行く

 

炎柱渾身のバトルは本当に見応えあったし何やってるのかよく分からないところもあったので、どこかで時間を作って劇場に足を運びたいです。

まあ…その頃には特典とか無くなってるんだろうな…(2020年10月21日現在大ヒット上映中)

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