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映画すみっコぐらし第三弾「ツギハギ工場のふしぎなコ」レビュー

最近すみっコ活動怠ってて反省中、平八です。

今夜はついに三作目、映画すみっコぐらし「ツギハギ工場のふしぎなコ」のレビューです。

 

※本記事ではネタバレ防止のため、今回のキーパーソンを「彼」と統一して記載しています。

 

大切なものと大事な記憶

 

すみっコぐらし映画も三作目まで来ましたが、今回も冒頭でレギュラーキャラの紹介が入るため本作が初すみっコぐらしの方でも安心して視聴できます。

そして今回はしろくまのよりパーソナルな部分に触れつつ普遍的なテーマを取り扱うというなかなかに挑戦的な試みに思えました。

それはいくら大切なものでもモノである以上はいつか壊れたり形を失っていくのは避けようがないということです。

今回のキーパーソンである「彼」もまた過去に一度必要とされなくなり、今回の事件の引き金になったのですが、あれは生きていれば誰にでも起こりうることだと思いました。

中年らしくひねた言い方をすれば「狡兎死して走狗煮らる」のことわざの通り、役目を終えればその場にいられなくなる或いは居る必要がなくなるといったことは誰の身にも覚えがあるはずです。

それが自分が選んだことなら納得して「次」に行けるでしょう。

しかし「彼」はもっと玩具を作りたかったし役に立ちたかったのにいつの間にかその任を解かれて心が彷徨ってしまったことが今回の事件の遠因だったと考えるとやるせない気持ちになりましたね。

別に誰かを困らせようとしてあんなことしたわけではなかったですし。

今回のメインビジュアルに添えられた「ここにいても、いいのかな?」というフレーズがやけに重たく感じますね。

劇中ではしろくまが自分の経験や絆を示して彼を説得しましたけど、あのシーンでメインターゲットと思われる若年層には「物と思い出を大事にしましょう」とストレートなメッセージを投げかけつつ、我々のようにある程度年のいった視聴者には「もし自分が誰かに求められなくなった時でも、どこかで自分を必要とする人のところに自分から行きましょう」ということが言いたかったんじゃないかと思っています。

 

それはそうとしろくまに双子の兄弟がいたとか初耳でしたけど前々からそんな情報ありましたっけ?

しかも黙って出て来たとかそれはアウトだよしろくま君。

お母さんは絶対心配してるから時々は顔を出さないと。

 

労働の日々

 

全体的に今回の映画は子供と大人では受ける印象が異なると思うんですが、もうひとつの具体例が勤務風景

おもちゃ作ってー検品してー梱包してー、をキラキラした工場で捌いていくのは子供心にはヒットしそうだと予想はつくんですけど大人からすりゃアレただの日常だもんな。

それを何日も繰り返して徐々にノルマが増えていくとか「ああーっ!!」ってなったし。

朝の体操もたまにやる分にはいいけどルーティンになったらあそこまでキラキラできないよとかシケたことを考えながらオッサンは観ていました。

でも工場に個室を用意してくれるところはワクワクしたよね。

部屋を断面にしてくつろぐ様子を見せるところとかわちゃわちゃしてるのが楽しい。

なんであそこまで好みを把握していたのか、あの時点で既に怪しかったですけど、すみっコメンバーは他人を疑うことを知らないからさっさと順応するところも面白かったです。

食べ放題ビュッフェも用意してくれてるし、福利厚生は良いなあとか思いました。

しかしとんかつが意思を持ってうろついてるイカれた状況で食卓に魚のフライが出てくるってやっぱこのギリギリの世界観が好きですわ。

あとなんかすみっコワールドには珍しいお世話型ロボットの見た目がジャスタウェイみたいでずっと気になってた。

あれ何かのメッセージなのかなってずっと思うくらい異物感のあるデザインだった。

 

揚げ物組も活躍するよ!

 

今回のメインはしろくまだったと思うんですが、とんかつファン目線でも楽しませて頂きました。

つーかえびふらいのしっぽとベッタリだなもう。

心許せる友とは言え今回はほぼセットで行動して助け合うシーンを色々と魅せてくれます。

でもやっぱ笑ったのは車にみっちり詰まったとんかつだな。

モルカーみたいになっててめっちゃ笑ったし、普通に走るとは思わなかったからクライマックスのカーチェイスがすごく盛り上がった。

その分あじふらいのしっぽはちょっと割を食ったというか、出番これだけ?となってちょっと残念でした。

まあすみっコキャラも大量に増えたからキャラクターを出すだけでも大変になってきたのは分かるので贅沢は言いますまい。

ねこのきょうだいとかエンドロールのエピローグにチラッと出ただけだし。

 

すみっコワールドにサスペンスを持ち込んだ逸品

 

「ここの住人に悪人はいない」という先入観があったので、「彼」を多少怪しいと思いつつも大きな事件にはならないだろうという心の隙を突かれた恰好でしたね。

 

途中ロボットアニメのような構図もあったりして、すみっコぐらしも十周年を超えて新しい取り組みを模索しているかのようでした。

 

とはいえ「彼」の設定はモノに普通に魂が宿るすみっコワールドでは特に不自然ではないものなのでこれまで作り上げた世界観を守りつつ新しい息吹を取り入れようという段階なのかも知れません。

 

※2023年11月19日:ゲーム版のレビューを作成しました。

 

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