初代ファミコン探偵倶楽部直撃世代、平八です。
今夜は待望のフルリメイク「ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者・うしろに立つ少女」switch版のレビューです。
本気度がすごいリメイク
まずはこんなに本気で作って頂いてありがとうございます。
正直に申し上げますと、サンプル画像見た時に「あっ、あんま期待できないな」と思っちゃったんですよ。
申し訳ない。
静止画だけ見て当時人気のあったアドベンチャーゲームを今風のデザインにしただけかなと。
しかしプレイを始めるとその印象は払拭されましたね。
とにかく演出が豊か。
場面によっては一枚絵の背景じゃなくて、主人公達がドラマをしている後ろでもモブの演技があるんです。
私は「うしろに立つ少女」から始めたんですが、冒頭からその技術に一気に引き込まれました。
また登場人物も表情が細やかに変わるし髪はたなびくし「なんだこれどうやってこうなってんだ」と興奮しながら見ていました。
後ほどまたお話しますけど、旧作では想像するしかなかった場面を現在の表現力で事細かに見せてくれるので物語への入れ込みようも大きくなるんですね。
生活音についても相当気を配って鳴らしているなと感心しました。
そして当時から大きく変わった点として、豪華声優陣によるフルボイス。
プレイヤーの分身・探偵くんはエヴァンゲリオンでおなじみ緒方恵美さん。
演技がかなりシンジ君寄りで、時々ぼやきがシンジ君になってましたがあのボソボソしゃべりが心の声や思考中の声にすごくマッチしていました。
ヒロイン・橘あゆみには皆口裕子さん。
もうこれは本当に嬉しい。
私が未プレイの「BS探偵倶楽部・雪に消えた過去」でもあゆみちゃんを演じておられたと聞いて「ピッタリじゃないですか!」とずっと思っていたのでテンションが上がります。
それだけにいっそのこと「雪に消えた過去」もリメイクして探偵倶楽部コンプリートパックみたいに出してほしかったという希望もありますが、それは欲張りというものでしょうか。
あと「なんでそんなとこまでこだわるの!?」と思ったのが、同じセリフでもトーンが違ったりすること。
たとえば「それは僕には分からないな」的な物語の進行上はハズレセリフでも若干言い方が異なっていてキャラクターが生きてる、感がより強くなっていました。
「………。」の時もちょっと言葉に詰まった声が入ってたり演出上も色々と楽しめます。
設定で音声をオフにしたり、旧作のように音源で台詞の進行を表現したりも出来るのですが、せっかくなので最初はフルボイスで楽しむというのはいかがでしょう。
大まかな流れは旧作と同じ
まあ当たり前っちゃ当たり前の話ですが、犯人が変わってたりすることはなかったです。
選択肢によって犯人が変わったりしたらゲームが別の方向に行ってしまいそうなので、それでよかったんですが。
なので旧作をプレイされた方は私が感じた「犯人は知ってるけど細部は忘れたから解き方で難儀する」という感覚を味わえることと思います。
「ちょ、この選択肢で合ってんじゃないのかよ」と「うしろに立つ少女」だけで何回ハマったことか。
無駄に見えても何回か同じ話題を振らないと話が進まなかったりしてね。
実際ちょっとストレスに感じるところではありますが、ありがたいことに旧作よりは台詞のスキップが格段に楽です。
本作に取り組むちょっと前に旧作をプレイしたのですが、相当ダルかったですからね。
「うしろに立つ少女」はスーファミ版のリメイクを元にリメイクされており、本編終了後、プレイヤーの捜査の進め方によってあゆみちゃんとの相性が分かる占いも再現されてました。
私はまあ…ハート半分ちょい?
捜査がイケズだったのが好感度減のようですね。
宝箱のようなコレクターズエディション
箱の裏蓋を見て「ほう!」と感嘆しました。
令和の時代にコレを買う消費者を「分かってる」と思わせてくれましたね。
ただ、外箱の装丁はとてもいいのに箱の材質がなんかペラいので長期保存には向かないかも知れない。
そこは注意したいと思います。
そして特典はうれしい旧作サウンドトラックと設定資料集とおぼしきブックレット。
ただしサウンドトラックはケースから異様に出しづらいので、自前の音楽プレイヤーに保存したら元に戻して保管するのが良いかも知れません。
旧バージョン思い出語り
ディスクシステムでプレイしたころまだ小学生だったもんなあ。
時の流れが怖い怖い。
当時からアドベンチャーゲームは好きでしたが、ファミコン探偵倶楽部は格別に好きでしたね。
主人公がちょっと年上だったから感情移入がしやすかったというのもあるのでしょうか。
今回演出がパワーアップしたリメイク版をプレイして分かったことは、やっぱり加齢のために想像力が衰えてるのかな、ということ。
旧バージョンは言ってもファミコンで発売されましたので、表現力の限界も今以上に低かったのはしょうがないことです。
でもあの時の素朴な画面の中でも自分に出来る限りの想像力を駆使して村や学校を頭の中で作り上げてたことを考えると今はもうそういうことが出来なくなってると気づかされたのですね。
これはちょっと前に、あえてファミコンテイストを再現したアドベンチャーゲーム「偽りの黒真珠」をプレイした時にも感じました。
そういうことを考えると解像度高く丑美津高校や明神村を再現したリメイク版は私の欠けた部分を補ってくれているようで非常に有り難いです。
というか「消えた後継者」をプレイ中ですけど、物語開始時が真夏だとは考えてませんでした。
確かに主人公は半袖でウロウロしてましたけども。
ただ、やっぱり「うしろに立つ少女」のラストの衝撃は旧バージョンそれもファミコン版に軍配を上げちゃうかな。
思い出が増幅されてるから比べること自体適切ではないのかも知れないと思いつつ。
今後に期待…なのか?
上でも言いましたけど作り込みがハンパないというか、本気度がえげつないのでこれは後に何か展開を考えているのではと都合のいい妄想をしてしまいます。
もしくは今回のノウハウを元に新作アドベンチャーゲームを検討しているとか。
まあ私としては出してくれただけでも嬉しいのでこれ以上を望んだら罰が当たるかも知れませんね。