地球滅亡映画新世紀「シン・アルマゲドン」レビュー

  • 2017年10月9日
  • 2018年5月12日
  • 映画

アルマゲドンみたいなのを想像して観ると痛い目を見ます、平八です。

 

今日の映画レビューは「あーこれあの映画にあやかったんだろうな」作品第二弾、シン・アルマゲドンです。

 

 

第一弾はえげつないサメでした。

 

 

 

 

原題は「Earthtastrophe」。2016年アメリカ製の映画で、こちらも日本に入って来る時にシンとかつけられた被害者です。

 

You Tubeにあった日本版のトレーラーでは勝手にアルマゲドンシリーズを名乗っていてオイオイ大丈夫かと他人事ながら心配します。

 

でもご安心下さい。

 

実はアルマゲドンは結構ナンバリングが存在し、それぞれ原題は全く関係ないのばっかりです。

 

言うなれば本作は日本でだけ通用するアルマゲドンファミリーの最新作と言えるのです。

 

大丈夫か本当に。

 

 

以下、映画の内容ネタバレを含みますのでご注意下さい。

 

嘘のスケールがでかくて気に入った

 

前述の通り、アルマゲドンの名を冠してはいますが時々小型の流星が落下してくる以外は全くの別物です。

 

むしろそれだけの共通項で邦題を決定した方々のクソ度胸を称えたいですね。

 

この作品の舞台装置にして作中一番の大ウソは「地球がワームホールを通って別の太陽系に流れ着く」というどこから手をつけていいのか分からないほどのアイデアです。

 

いいねえ、こういうの大好き

 

現行地球の太陽との距離とか奇跡的なバランスを全無視のうえ、太陽が2つある世界という異様な設定。

 

また、転移した時の衝撃のせいか人類は滅亡の危機に瀕しています。

 

 

事の発端のワームホールがなんか絵的にショボくて早速腰が砕けそうになりますが、そんなことは気にしてはいけません。

 

結局最後はワームホールに救われることになるから。

 

ただ折角こんな大ウソをふりだしにしてるのに、物語は地上を中心に淡々と進みます。

 

この辺はブルース・ウィリスを宇宙に連れて行った本家との予算の差なのかも知れません。

 

ワームホールのみならず全体的に絵ヅラがチープなのも味わいがあるのですが、序盤のニューイヤーパーティが何か寂しすぎてこちらもいたたまれなくなります。

 

だって皆あまり楽しくなさそうなんですもの。

 


シン・アルマゲドン [DVD]

 

やっぱり頭のいい人はどこか違う

 

どう見ても生物には見えないのに的確に人間を狙ってくる霧・Eクラウドや2つの太陽、別次元の地球など謎には事欠きません。

 

それら全てに主人公と行動を共にする男・ジャスパーは対処していきます。

 

元々彼はエンジニアでワームホールが何故発生したのかにアタリがついていたため独自に地球を元の世界に戻す方法を模索するほどの天才です。

 

本編でもその天才ぶりはいかんなく発揮されるというか天才すぎて何を言っているのか分からない時があります。

 

特に「主人公は二つの次元を行き来して自分と交信できる」とか言い出した時は「これもう分かんねえな」と若干諦めがちになります。

 

要は主人公が過去の自分に干渉することで歴史を変え、元の世界に戻すための重要アイテムを取り寄せるという漂流教室でも見られたギミックなのですが、そもそもジャスパーの物分かりが良すぎて周りの人間はついていけなくなり行動を共にしていた女性陣との温度差が広がっていきます。

 

やっぱりフィルム時間84分だと話の早い人がいないといけないんだなあ。

 

それとは特に関係ありませんが、この映画演出としてフィルムを早回しにする箇所があります。

 

それ自体は別に他の映画でも見られるので問題はありません。

 

ただ、回数がやたら多いしタイミングがよく分からない。

 

2回観てもさして重要でないのでは、と思われる箇所でもガンガン早回しを使っていきます。

 

もしかして尺が足りなかったからこんな調整したのか?

 

妙な勘繰りを入れてしまうほど変なタイミングで入るので、もしご覧になる機会があり、あの演出の意図が分かったのであればぜひ教えて頂きたく思います。

 

少なくとも私は「なんじゃこりゃ」以上の感想が出てきませんでした。

 

とってつけたようなクライマックス

 

2つある太陽のうち近い方に地球が吸い寄せられているようだ、という伏線は一応あります。

 

しかしいくらSFと言えどそんな速さで吸い込まれるか? と思うようなスピードで物語とともに破滅の足音は近づいてきます。

 

パニックに陥る人々。

 

運命に抗う現在と過去の主人公。

 

ところで過去の主人公は現在の主人公の思念を受け、未来のために行動しますがここのところが作中屈指で分かりにくいです。

 

主人公の記憶が混濁しているというのを表現したかったのだとは思いますけど主人公の過去の記憶と過去の過去の記憶が絶妙にブレンドされて何がどうなっているのか非常に分かりにくかったです。

 

2度目の視聴の際は主人公の顔の傷で時系列を判断することが出来たのですが、1回目は理解するのが困難でした。

 

過去の記憶だけならまだしも現在の場面もぶつ切りに入ってきますしね。

 

そしてまあ何やかんやあって遂に開くワームホール。

 

既に地球は太陽に飲み込まれる寸前でしたが間一髪それを捻じ曲げ、ワームホールは地球を吸い寄せます。

 

すごい面白かったのがこの時月も一緒に元の次元に戻っていくところです。

 

お前来てたんかい! みたいな。

 

モヤモヤはいっぱいするけど、あまり気にしないようにしましょう

 

晴れて元の世界に戻る地球。

 

しかしそれは大破壊の以前、ニューイヤーパーティの時まで時間が巻き戻されています。

 

しかも主人公以外の人々は記憶を失い(というよりそもそも大破壊が起こらなかった?)志半ばで非業の死を遂げたジャスパーも普通に生きてます。

 

遡れば「ていうか太陽があんなに接近してたら地球上の生物燃えカスにならない?」とか「別次元の地球ってどういうこと? 他の太陽系に行ったってのは勘違い?」とか「Eクラウドってやっぱり知能を持ってるようにしか見えないんだけど…」色々気になることはあります。

 

ですが、このフィルムを観ていると監督の心の声が聞こえてくるような気がするのです。

 

「うっせーな、ワームホールだよワームホール」

 

製作者はワームホールに過剰な期待を抱きすぎだと思います。

 

まとめ

 

それではざっくりまとめますと

・シン・ジョーズ同様製作者は某有名怪獣映画に乗っかるつもりではなかった。
・ジャスパーが出てきてからの物語が難解。
・細かいことは気にしてはいけない。
・とにかくワームホール。

こんな感じですか。

 

小難しい理屈が多いので、そういうのが苦手な方にはお勧めしません。

 

私も分からないところが結構あったので二度見しました。

 

逆にSFっぽいの好きという方であれば、色々と楽しめるのではないでしょうか。

 

最新情報をチェックしよう!