怪人二十面相シリーズ読者でした、平八です。
今夜はよみがえる怪人と小林少年達の対峙を描いた「実写版 超・少年探偵団NEO Beginning」のレビューです。
※本記事は謎解き以外のネタバレを一部含みますのでご注意下さい。
公式サイト:
最大の謎は二十面相
<あらすじ>
昭和の昔、名探偵明智小五郎とともに怪人二十面相と数々の激闘を繰り広げた小林少年。
小林芳狼は彼のひ孫にあたり、同じく明智小五郎のひ孫の明智小夜、兄貴のような存在のワタリと平穏な学生生活を送っていた。
しかし、ある日芳狼の前に怪人二十面相が現れ、夢と現の境のような世界に彼を導き不穏な言葉を残す。
その時から周囲で奇妙な事件が起こり始め、芳狼はかつてのように二十面相を追うことに没頭していく。
白状しますと高杉真宙さんと佐野岳さんが仮面ライダー鎧武以来久しぶり(5年ぶり)に共演するという情報だけで観に行きましたので、本作の舞台とか予備知識が全くない前提でのレビューになります。
その視点から一番気になったのは「歴代明智探偵と小林少年よくあんな得体の知れないのと戦ってたな」という点。
だってもう怪人がどうとか言う前にオバケじゃん二十面相。
本編で繰り返し使われてたあの青毛布のトリックが結局どういう原理なのか解き明かされなかったのは結構驚いたんですけど。
「使えるから使えるんだよ、文句あるか」という二十面相の怒声(CV:神谷浩史)が聞こえてきそうなのであまり深くは追求しませんが、私の知ってる二十面相ってまだ人間が出来る範疇でやり合ってたような気がします。
犯罪はするけど人殺しはしない、そして割とよく捕まる。
悪漢でありながらどこか憎めない怪人二十面相は子供心にも魅力的に映ったものです。
でも今回の二十面相って二・二六事件の頃から代替わりすらしてなさそうでめっちゃ怖いんですけど。
オバケじゃん!!(二回目)
しかし本作は「Beginning」と銘打たれているように、明智と小林の血に連なる者と彼らの仲間達の活躍、少年探偵団の結成が描かれていますので後々に二十面相の奇っ怪な素性が暴かれるかも知れないので今結論を出すのは早計でしょうか。
でもなんかスタッフロール見てると「月刊ムー」が一枚噛んでるっぽいのが気になるんだよな。
ラストでやけに不自然な形で冊子が出てきたから変だなとは思ったんだ。
二十面相の設定はそこに影響されてんじゃないかって。
ただまあ二十面相の黄色いインナースペース的世界とか、神谷浩史さんのねっちょり絡みつくようなボイスはかなり雰囲気出てたのでそこは良かったです。
あいつ芳狼君のこと好きすぎるだろ。
絶妙に懐かしさの漂う画面作り
原作が昭和の児童向け小説というのを意識してるのかな、と思ったんですが、光の加減とか画面が今風ではないと感じましたね。
うまく言えないけど画面全体がなんとなくボヤけた感じで、昔懐かしい日本映画という雰囲気がどことなく漂います。
こういうレトロな雰囲気作りは現代社会ではすっかり白日の元に晒された妖の空気を醸し出すことに成功しており、現代劇なのに昭和の空気をたっぷり感じます。
電人コンテストもなんか微妙に古臭いフレーズですしね。
私ら世代だと電人って言われてもザボーガーしか思いつきませんよ。
佐野岳、乱舞
いやあ、今回もやってくれましたね。
一応期待はしてましたが、予想外のワタリ登場から流れるように突入する悪漢との大乱闘。
エスカレートするバトル。
宙を舞う佐野岳。
これよ、これが観たかったのよ!!
個人的な好みを言えば、インパクトの瞬間スローになる撮り方よりもスピード感そのままの立ち回りが好きなのですが佐野岳アクションが大スクリーンで観られて大変満足です。
ワタリ参戦の流れも「二十面相は変装の名人だが、探偵サイドもそこそこ変装の名人」という原作の設定を踏襲しており旧作ファンを唸らせます。
どうやって用意したんだあの衣装。
あと小林中年(芳狼君のパパ)もハッスルしたり、最終的に決め手になったのは芳狼君が放った虎撲子のような技というのがなんか面白かったです。
いきなり中国拳法が出た…?みたいな。
佐野岳さん主演映画のこちらもレビューしてます。
エンディングでカレーが食べたくなる
これはまあ実際観てもらえれば共感して頂けると思うのですが、芳狼パパの作るカレーが超美味そう。
いや、分かるんですよ。
これまでの親子のわだかまりが、カウンターでカレーを並んで食べて語り合ううちに涙と一緒に解けて行くシーンだというのは。
正直クソ生意気だった芳狼君がボロボロ泣きながらカレーを食べるところは「子供の頃からお父さんにそう言って欲しかったのかなあ」と自分もうっすら涙ぐみました。
それはそれとしてカレーがすごい美味そう。
涙腺と胃袋を同時に刺激してきて何これ状態。
シーンの意図がぼやけてしまう恐れがあるので、カレーはもっと不味そうに作るべきでしたね。(どんな提案だ)
ぼくらの探偵団はこれからだ!
続編では明智小夜ちゃんの活躍を希望します。
名探偵明智小五郎のひ孫でありながら女に生まれたため「小五郎」の名を継げず、探偵家業もできないティーンアイドルという芳狼君の次に強いバックボーンを持ってるのにイマイチ活躍しきれなかったのが不満と言えば不満です。
つうかミステリー同好会のズッコケトリオのキャラが立ち過ぎててバランス悪くね、て思った。
特にクロサキ君は一目で「面倒そうな奴が来た…」と分かるくらい声も顔も演技もうるさかったのですげえと思いました。
クロサキ役の長村航希さんは今後チェックしたいと思います。
ところでパンフレットに「伊藤さとりの映画で心理テスト」というイエス・ノー心理テストがあり、私は「夢野正太郎」タイプでした。
あー…まあ…そういうところあるかな…ミステリー同好会に入ります…(入るのかよ)