巨人の肩にはどんどん乗っかっていきましょう、平八です。
今夜は映画「シン・ジョーズ」のレビューです。
原題は「Atomic Shark」。2016年アメリカ製の映画で、日本に輸入される際にちょうどノリに乗ってた怪獣映画に乗っかった感じみたいです。
でも別にこちらも後追いとかそういうのではなく、日付までは判明しなかったのですがどうも2016年の7月に公開されたようで、あの某有名怪獣映画の日本封切りが2016年7月29日であることから要は日本でウケやすいように邦題を決められたんでしょう。
「シン」は「sin(罪)」とかもっともらしいことを言ってますけどね。
何かこういうのを見ると海外産の大人向け映画が日本に輸入される時に有名映画のパロディタイトルをつけられるのを思い出しますね。
以下、映画の内容ネタバレを含みますのでご注意下さい。
意外に楽しめる内容
結論から申し上げますが、私は楽しかったです。
まあ楽しいにも色々あるんで「ハリウッドの金かかった大作映画のように楽しめた」とはちょっと違うんですけど大体レストランが爆発炎上するあたりから「ああこれはそういう楽しみ方をすればいいんだ」と分かり、そこからはもうゲラゲラ笑いながら観れました。
最初の方で真面目に「原子爆弾とは云々」みたいに語っているのは全て前フリです。
騙されてはいけません。
真面目に原子爆弾や世界平和について考えている人間がこんなトンチキなムービーを撮るはずがないからです。
というか劇中の放射能の定義や扱いについてクレームをつける方がどうかしているみたいな作りにした時点で作り手の勝ちです。
「えっ? 現実の核兵器があんなんなわけじゃないスか。何言ってるんです?」とか平気で言ってくるでしょうね。
監督が。
正直たまたまTSUTAYAで見かけただけでこの作品以外にどんな映画をお撮りになっているかは知りませんが、多分いい性格してると思います。
友達には絶対なりたくないけど遠目に見る分には絶対楽しい人だろうなと予感があります。
それなりの緊迫感はある前半
平和なビーチに突如起こる惨劇。
増え続ける犠牲者。
不安を抱える人々。
立ち上がりはよくあるパニックムービーの掴みですね。
ライフセーバーの主人公がドローンを使ってライフジャケットを飛ばしたりSNSにハマる同僚がいたり小道具に新しいものを取り込もうとする姿勢は好感が持てます。
何でその気配りを放射能の考証に回さないのかと思わずにはおれませんがそれはそれ。
ヒロインであるジーナ役のレイチェル・ブルック・スミスは主人公の同僚でやはりライフセーバーです。
真っ赤なビキニという刺激的なコスチュームで視聴者の気をそぞろにしますがよく見ると結構腹筋も締まってるし肩幅もガッチリしてて職業ライフセーバーというのがとてもしっくり来ます。
ある意味彼女の設定がこの物語で一番説得力があります。
真っ赤な背びれのサメ
設定上「ソ連製の潜水艦が沈んだ海域で放射線を浴びたサメが放射能を得た」とかそんなんらしくて全身ちょっとアレな感じです。
海水が冷却水代わりになっているようで海中にいるうちは問題ないのですがボートに乗り上げたり陸に上がったりすると周囲を発火させ、最悪大爆発を起こすとんでもない設定です。
冷却水のくだりはまともな設定なのかな…とちらっとだけ思いますが、それは錯覚です。
基本的にサメ映画の文法にのっとって背びれだけは海上に出して獲物に接近するのですが、その際も背びれが真っ赤に燃えています。
冷静に考えたら海上に出したままの背びれが爆発するような気もしますがそんなことを気にしてはこの映画の発する圧力に負けます。
その恐ろしい戦闘力で犠牲者達を真っ二つにしたり焼死させたりバラエティ豊かに殺戮を繰り広げる物語のキーパーソンです。
パラセールを楽しむ船を襲い、体熱で船もパラセールも燃やして5人殺した時は震えましたね。
食欲を満たすために殺すんじゃなくてこいつは殺すために殺してるって思えて。
ツッコむ方が野暮な後半
前半、焼けただれた魚が砂浜に打ち上げられるという現象が発見されるのが一応伏線になってます。
不用意にその魚をレストランに持って来てテーブルの上でガイガーカウンター当ててみたり「もしかしてヤバい? よそにやってくるわ」とか呑気な会話を繰り広げるとかこのあたりから物語は加速していきますね。
あさっての方向に。
上の方でも書きましたがサメに汚染されたと思われる魚を調理してしまったため、それを食べたグルメリポーターは大爆発を起こし、魚は炎上し、火が厨房に燃え移ってレストランは粉みじんに吹き飛びます。
もう自分でも何を言ってるのかよく分からなくなってきましたが、これがサメの恐るべき能力なのです。
しかもジーナ(本業学生)に言わせると放射能生命体となったサメを殺すことは不可能だそうです。
放射能怖すぎる。
そして軍隊に任せておいてはいけない、奴らはこの浜でサメを殺し、核爆発が起きる。
だから私達が戦うしかない!
いやまずはその道のプロに筋道立てて説明しろよ。
これこれこういう危険性があるからここで始末するのはやめて下さい、とか意思疎通の努力はしようよ。
時間が短い(84分)からってそこを端折るのはオジサンは良くないと思うな。
戦う決意を固めてからは怒涛の展開というか出来ればぜひご自身の目で確かめて頂きたいとは思うのですが、何しろ人を選ぶと思います。
こっから先は本当にひどいから。(褒め言葉)
「何でだよ!!」は最低5回は心の中で叫びましたね。
結構カッコいいPV
いわゆる向こうの公式ページがアップしてるサントラ用の動画なんですけど、あんなことをした映画とは思えないくらいクールです。
というかですね、このPVを観てると「ひょっとして皆マジメにこの映画作ってたのかな…?」と思えてきます。
まじめにふまじめ、というどっかの盗賊みたいなフレーズが頭をかすめました。
あと、注意しておきたいのがこの動画の2:00頃から挿入される画像の右にあるアイコン、こちらは押さない方がいいです。
押したら仲間だと思われてしまうようなので注意しましょう。
しかしこの動画を観てるとレイチェル本当にカッコいいな。
まとめ
もうキリがないのでそろそろまとめますが
・別に某有名怪獣映画に乗っかるつもりでは作ってなかったっぽい。
・意外にちゃんと作ってある。
・でも根本的に何かがおかしい。
・頭空っぽの方が夢詰め込める。
さて、実はほぼ同時期に同じものに乗っかろうとした映画もありました。
シン・ゴジラの影響力がうかがえるというものですね。