怪作猟奇ミステリー漫画「怪奇探偵・写楽炎シリーズ」レビュー




怪奇ものは嫌いじゃないけど怖すぎるのはNG、平八です。

 

あなたはいかがですか?

 

グロ描写は苦手だけれど本格ミステリものや猟奇作品には興味がある。

 

今回レビューする「怪奇探偵・写楽炎シリーズ」はそんなあなたのナイーブな要望に応える怪作なのです。

 

 

猟奇世界をキュートな絵柄で描くミステリ

 

あらすじ

 

ヒロイン・写楽 炎(しゃらく ほむら)が自らの周りに起こる奇っ怪な事件を後輩の空手少年山崎君とともに解決していく推理もの。

 

 

奇怪な事件のうち、九割方が昭和テイストの猟奇案件。

 

しばしば人の頭が吹っ飛んだりもします。

 

この文章だけで「あ、もう無理」と思うほどグロ描写に抵抗があるのであればお勧めはしません。

 

「うんまあ見てから判断しようかな…」と妥協できる方なら大丈夫。

 

陰惨、猟奇な世界観を可愛げのある作画で読みやすくし、本作の骨子である正統派ミステリに引き込まれていくことでしょう。

 

ナレーションの入れ方も江戸川乱歩風で怪人二十面相シリーズを少年文庫で読んでた身としては懐かしくなります。

 

 

2巻。情感たっぷり

 

 

そうそう、何故かナレーションが感情豊かに訴えてくるんだよなあ、と。

 

そして大部分の事件が読み終えるたびに「人間って怖えな」という気持ちになります。

 

謎は解き明かされたはずなのにもやもやと残るもの。

 

決して良くはない後味がだんだんクセになっていきます。

 

ここはかなり好き嫌いが分かれるかと思いますね。

 

自分のオススメは2巻に掲載された「骸絵」です。

 

犯人の異常性と経験に裏打ちされたトリック、無常観を描く九相図をモチーフとした骸絵の背徳感など恐ろしいながらも目が離せない作品になっています。

 

犯人が何故凶行に走ったかを解き明かす前日譚も何のフォローにもなってないところがグッド。

 

あーこんなことやってりゃ、そりゃあそうなるわな以外の感想が出て来ない。

 

「犯人にはこんな辛い過去があって、このような凶行に…」的な作風でないのは近頃では新鮮ですね。

 

Kindle Unlimitedなら月額980円読み放題に含まれていますので(2018年7月23日現在)この機会に一気読みしましょう。

 

なにしろ今のところ3冊刊行されてて一巻あたり300ページあるから読み応えありますよ。

 

 

 

 

怖がりな人への気遣いを感じる

 

これは根本先生の優しさというか、コミカルな描写を含ませることで陰惨な猟奇事件を和ませようとしているように思えます。

 

作風としていっぱいえぐいシーンはありますけどグロ描写を出した後も引きずりません。

 

むしろグロ描写を逆手に取って遊んだりします。

 

このあたりはギャグ漫画も描いてらした頃の名残りなのかと推察します。

 

ホラー漫画的に読者を怖がらせる意図ならばもっとそちらへ舵を切ることもできたと思いますけどそうはしなかった。

 

おかげで夜中にホラー映画とか観たくない私でも先へ先へと読み進めることができます。

 

炎ちゃん可愛いしね。

 

 

2巻・360Pより。炎ちゃんカッコいい!!

 

 

炎ちゃんどんくさっ!!

 

 

後は多彩なオッサンオバサン達が見てるだけで面白いので、事件は深刻なのに場の雰囲気はそこまで落ち込まないのが不思議ですね。

 

 

伏線の教え方が斬新

 

 

思い返して下さい。

 

金田一少年の事件簿や名探偵コナンを。

 

探偵が「ハッ」と気づく過去の描写は回想として脳裏に閃いていたはずです。

 

本作ではなんとページ数まで指定してくれます。

 

親切すぎる。

 

おかげで読者は迷うことなく「伏線描写」にたどり着けるのです。

 

時々続けて回想が入り、ページ数がうるさくなってるところもありましたがそれもご愛嬌。

 

連載作品だと指定が大変そうですが、恐らく単行本化する際に直されたのでしょう。

 

 

私と根本尚先生作品

 

特別関係があるわけではないので期待しないで下さい。

 

ただの昔話です。

 

元々私が作者である根本尚先生を知ったのは少年チャンピオンで「現代怪奇絵巻」という日常あるあるギャグ漫画を描いてらした頃です。

 

2006年連載開始なのでもう十年以上前になりますかね。

 

それからしばらくは薄情にも根本先生のことを忘れていましたが、最近Kindleで漫画を物色中、気になる表紙「怪奇探偵 写楽炎」を発見。

 

 

中身を読んで「この絵柄、似てるな…?」と思いググってみるとビンゴでした。

 

当時からオッサンオバサンの描き方にすごく特徴があったのでピンと来ました。

 

まさか十数年の時を超えてこんな出会いをするとは。

 

「現代怪奇絵巻」は毎週掲載されていましたがページ数が少なく、単行本にはならなかったので今から読もうとすれば古本屋で少年チャンピオンを探すか国会図書館くらいしかないですね。

 

世の中こうした短編ギャグ漫画が単行本にならない例は沢山ありますが、電子書籍が幅をきかせてきた今こそデジタル単行本化して世に再び解き放っては、と私は考えています。

 

ページが短くても面白い漫画っていっぱいありますしね。

 

 

まとめ

 

腰を据えてミステリを楽しみたいときにはお勧めの作品。

 

こういう読み応えのある作品が月額制で読み放題とはいい時代になったものです。

 

まあ…その後セールで半額だったので結局購入したんですがね…。(アンリミ意味ねーな!!)

 

気に入った作品は手元に置いておきたいというのはオタクのサガでしょうか。

 

本作はKindle以外の電子プラットフォームでも購入できますので、まずは公式ページを覗いてみては?

 

 

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