平成最後の細腕繁盛記「幼女社長」レビュー




 

サラリーマン歴そこそこ長くなりました、平八です。

今夜は「もしも幼女が社長だったらというドリフコントのような一点突破ギャグマンガ「幼女社長」のレビューです。

大人が見失ったものを幼女視点で問いかけてくれるコメディ

 

近年「◇◇が◯◯な件」「△△な俺が異世界転生したら☆☆で◯◯なんだが」のように表紙を見たらある程度の方向性が分かりやすいタイトル付けが流行りです。

忙しすぎる現代人の選択の手間を少しでも省くためというのももっともな話ですが、タイトルで不用意に妄想を膨らませて期待して買ったら騙された、という経験を幾度もして来た昭和生まれの私からすると時の移ろいに寂しさを感じずにはおれません。

なんだよ全然エロねえじゃん的な。

それはそうと本作もタイトルの時点で方向性を明確に打ち出しています。

幼女社長。

幼女が、社長。

すげえストロングスタイル。

たった四文字にこれから巻き起こるドタバタを内包しています。

話の筋はむじなカンパニーの社長である幼女なじむ(5)が大人の世界を舞台に縦横無尽に暴れ回るという実にシンプルなもの。

そして彼女の前には残業、過剰労働、新人教育、倒産、健康問題、老後問題と大人達の悩みがキャラクターの形をなして現れます。

この標なき時代にどう生きればいいのか。

迷い、途方に暮れる女子社員や中年男性達となじむは対話し、解決策を提示します。

そこで彼らは勇気をもらい、次の一歩を踏み出していく姿が描かれるのです。

なじむの発想は幼女らしく単純ですが、それゆえ力強いものでした。

「そういやこれってもっと簡単なことだったな」と読んでいる自分が初心に帰ることも。

本作は基本ゆかいコメディでありながら、年を取りすぎた私のような人間に過去に置いてきた視点を取り戻させてくれる一面も持っているのです。

これから二十年ちょっと経って自分が定年退職する時になったら「ろうご」の回を思い出して頑張ります。

あと個人的に好きなのは訪問販売のおばさんに十歳若返るという触れ込みのクリームを塗られて「そんなに若返ったら消滅してしまう」と涙ぐむ回ですね。

「短いけど大事な人生なんです」はいいセリフだと思いました。

基本は続き物、どこからでも読める

 

単行本の冒頭、メインキャラクターの顔見せカラーページがあります。

それさえ覚えておけば、忙しい現代人に配慮したかのような4ページでエピソード完結型なのでどこから読んでも大丈夫。

現代のネット社会に対応しているのか、作家も作品を多くの人に届けるのに色々と心を砕かないといけない時代になったと感じましたね。

ただ、単行本作成にあたり元々の連載順を並び替えて流れを作り直しているように見受けられましたので基本は頭から読んで間違いないと思います。

で、元々この作品は「笑うネットメディア クレイジー」というホームページで連載しています。(2019年4月27日現在)

外部リンク:

 

今回発刊された単行本は今までに連載された話が全部収録されているわけではありません。

そして親切なことに「この話は単行本に収録されてますよ」とホームページ上に記載されています。

つまり記述のない回が単行本未収録なわけですね。

どこまで言っていいのかなんですけど「だいぶ修正したな」っていう回もありましたし。

カバーも裏表紙も結構凝ってるのでそのあたりはやはり見て頂きたいかなと。

カバーの手触りが結構いい感じ

マユちゃん八面六臂

 

持論ですが、いいギャグ漫画にはいいツッコミが必ずいます。

すごいよ!マサルさんにはフーミンが。

ボボボーボ・ボーボボにはビュティが。

ジャングルの王者ターちゃんにはヂェーンが。

たとえが全部ジャンプ漫画なのは申し訳ない。(しかもちょっと古い)

ボケが放ったエッジのきいたネタを一般読者にも分かりやすく、かつ面白さを増幅させてお届けするという役割を担うのがツッコミ役なのです。

本作においてはツッコミ役兼常識人枠の割戸真友(マユちゃん)がひとりで頑張っています。

メインどころが全員ボケたがりなので。

後輩もまだ十分に育っていないため(それどころか後輩もボケ役の可能性も)結局孤軍奮闘することになっています。

「いや、ストッパーは必要!!」と絶叫する回がありましたが「それを本人が言う」ところは色々思うところがあるのかな、と思いました。

常識があるせいで割を食うポジション、私は好きですよ。

 

まとめ

 
 
簡単なことを難しく考えすぎないように生きてみよう。
 
あまりに何も考えてないのも考え物ですが、煮詰まるほどに悩むくらいなら公園でA5ランクの和牛焼いて食べようぜ。
 
欲望マシマシステーキは肉が食べられなくなる前に一度は食べてみたいと思いました。
 
 
 

(追記)第2巻レビュー(2019年11月15日刊行)

 
 
えっ早くない、と思いましたが角川的に手ごたえがあったのでしょうか。
 
ともあれ2巻のレビューを追記します。
 
 

むじなカンパニーは今日も大騒ぎ

 

前巻同様「業務上のトラブルや社会人生活に溶け込む幼女」が巻き起こすドタバタ劇ですが、個人的にはパンの誤発注にキュッとなりました。

社会人やってると一度や二度はあるものでしてね。

そうした時には胃が痛くなったり憂鬱なエピソードをなじむパワーで豪快にコメディに変えてしまうところが本作の読みやすい点かと思います。

パンがらみのエピソードに3話も使うとは思わなかったけど。

また話数を重ねることでショートコメディながらキャラクターの行動、互いの関係性がより深みを増してきた感があります。

マユちゃん恥ずかしいことがあったら両手で顔を覆うのが可愛いよね。

三巻が出る頃にはユキさんと社長の出会いが描かれるんでしょうか。

 

多分描き下ろしページもいっぱい

 

丸々一話分足したり、話が完結した後の「その後の彼らをちょい見せ」形式で色々と描かれています。

多分、としたのは自分が読んだかどうか判断つかないエピソードもあったためです。

その中でも割と好きなのがヒモのシュウとアケミが再登場する「うわき」なんですけど、最後のページで「なんだよもぅ」って感じでニヤニヤできるのでおススメです。

シュウもいつかはちゃんとしたところに就職できるんですかね。

 

居酒屋描写がすごい

 

まさかの二巻続けて打ち上げでシメ。

そして前巻同様ブックカバーを外すと見られる密度の高い居酒屋描写。

日本家屋的な居酒屋の描き方が異様にウマイ。

「キャラがそれぞれ絵の中で生きてる」のが眺めているだけでも楽しい。

で、メニュー表とか見て行くと「無難サンド」とか本編の細かいところも拾っていて流石に全部は書き切れませんが実にカロリーの高いカバー下絵になっています。

私的には元メジャーリーガーが試合が終わればノーサイド精神でしれっと参加してるのが心温まりました。

いい笑顔してやがるぜ。

 

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