髪の描写がやっぱすごいよね小畑先生、平八です。
今夜は新潟市で開催「画業30周年記念 NEVER COMPLETE 小畑健展」の訪問手記です。
情報:
開催場所:新潟市マンガ・アニメ情報館
(〒950-0909 新潟県新潟市中央区八千代2-5-7 万代シティBP2 1階)
開催期間:2019年9月14日(土)~11月10日(日)
開場時間:11:00~19:00(土日祝は10:00開場。最終入場は18:30まで)
入場料金:一般1,500円 中高生800円 小学生600円
公式HP:
「NEVER COMPLETE」に込められた意味
まだご自身の絵に満足してらっしゃらない様子。
飽くなき向上心すぎる。
子供の頃からとにかく絵を描くのが好きで、ある時期から課題を決めて一日一枚描いたというエピソードがご本人出演のVTRで語られましたが、そうした修練の賜物なのだなあと感慨深く拝見しました。
会場の構成としては作品ごとに区分して配置した原稿や各媒体に寄稿したイラストの展示が主で、トップバッターは小畑先生が「俺の絵でもジャンプでやっていける」と確信を得たという「ヒカルの碁」。
逆に何故やっていけないと思ったのか聞いてみたいところですが、それはそれ。
CYBORGじいちゃんGめっちゃ面白かったじゃんね。
さておき、もはや20年前の作品となってしまったヒカルの碁ですが、私の年代ですとまだ若かりし頃に読んだ思い出深い作品。
その第一話が(多分)全ページ惜しげもなく生原稿で展示されています。
で、この展示構成に難があるなと思ったのは「読んじゃう」んですよね、みんな。
おかげでここのコーナー進むのが遅い遅い。
「うわーなっつかしー」「アカリちゃん上目遣いでかわいいー」とか当時の記憶を思い返しつつ浸っていると横にどんどん人が詰まって焦る。
生原稿の完成度も堪能したいし読みたいしというふたつの欲求を満たすのはなかなか難しいものがありました。
その後も佐為消滅とか名場面ピックアップ生原稿が続いて段々モヤモヤしてきて、結局後述の「マンガの家」でヒカルの碁の単行本「院生編」のあたりから読みふけってしまいましたね。
これ物販のところに単行本売ってたら危なかった。
そこからは「DEATH NOTE」「BLUE DRAGON ラルΩグラド」「バクマン。」「人形草紙あやつり左近」「CYBORGじいちゃんG」「魔神冒険譚ランプ・ランプ」など一般認知度の高い作品から往年のファンまで心躍る展示の数々。
力人伝説、お前は今どこにいる。
個人的には土方茂先生時代の方が馴染みがあり(「THE MOMOTAROH」でもちょくちょく出てたし)、やっぱじいちゃんいいキャラしてるよなあとカラー原稿に目を奪われていたのですが、改めて細部を見ると関節部とか描き込みが異様に細かくて「なにこれ怖っ」てなりました。
これを週刊連載でやってたとかどんな腕してるんでしょう。
インタビューによるとかなり早い段階で漫画家になると決めていたようですし、「サラリーマンやるよりも漫画家になる方がたやすくイメージできた」と仰るほどなのでそこからの積み重ねを物語るかのような密度にただ圧倒されました。
誰でもできることじゃないなこれ。
展示も非常に凝ってるというかDEATH NOTEの最終回ラスト、神を求めてさまよう人々という皮肉とも取れるシーンの原稿を十字架に配置してるのは洒落てるなと思いましたね。
全体的に大変スタイリッシュな会場でした。
小畑先生の印象
各種原稿展示コーナーの反対側に小部屋がありDEATH NOTE新作原稿一部展示、今回新たに製作された作品とメイキング、小畑健インタビューとなかなか目が忙しい内容がぶっこまれてました。
インタビュー動画では幼少期のこと、自身の転換期、今後のことと言った様々な質問に受け答えする小畑先生は眼光静かに鋭く、肌もつやつやして実年齢より若く感じます。
ただ、メイキング動画でスタッフの方達と打ち合わせする小畑先生の挙動は何か新妻エイジっぽかったのでキャラクターというのは作者の分身なのだなあと妙な納得をしました。
あの動画を観た方なら何となく分かって頂けると思いますが、怪鳥みたいなポーズところどころありましたよね。
あと、左右対称へのこだわりがすごいとのこと。
それと若干関係するのが小畑先生は右斜め顔と左斜め顔をどちらも同じように描くために原稿の裏から描いて、それを透かしてペン入れするということもよくやってらしたそうです。
(原稿用紙の裏面に下描きした展示がありました)
まあ確かにそれなら苦手な向きも得意な向きと同様に描けるだろうけど、と唸りましたがこのこだわりがあの絵を生み出す原動力なのかと考えさせられました。
当展示は撮影禁止
なので買っちゃった目録。
あとじいちゃんのポストカード。
原稿のコピーとどっちにしようか迷ったけど思ったよりでかくて断念。
他にも日常生活でも使えるシャレオツなマグカップやヒカルの碁キャラ缶バッジ、DEATH NOTEお菓子など様々なグッズが。
DEATH NOTE菓子とか食べたら40秒後に心臓止まりそうですが大丈夫でしょうか。
常設展示手記
新潟市マンガ・アニメ情報館では「小畑健展」のような特設展示以外にも常設展示が同じチケットで閲覧できるため(一度外に出てしまうと無効)オトクな気分を味わいつつ閲覧。
大別すると
・新潟出身の漫画家、アニメ関係者の情報が収められたデータベースと各種展示
・漫画、アニメの製作プロセスが動画で学べるコーナー
・マスコットキャラ「花野小町」と「笹団五郎」の活躍とオリジナルアニメ放送
・あのキャラと遊ぼう体験コーナー
となり、情報量の多さに圧倒されます。
お気に入りは入ってすぐ左手にあるタッチパネル形式の新潟出身漫画家データベース。
「あの人新潟出身だったの?」という新鮮な驚きが味わえます。
私的には「月刊少年ギャグ王」読んでた方なら「レニフィルの冒険」または「ドラゴンクエスト4コママンガ劇場」でおなじみ石田和明先生が新潟出身だったのは驚きました。
こちらのデータベース、出身地(市とか)でも検索できるようなので気になるあの先生はどこ出身なんだろうという楽しみ方もできますね。
白根市(現新潟市南区)出身の漫画家であるえんどコイチ先生、斉藤富士夫先生の足跡を訪ねて「しろね大凧と歴史館」を訪問した時の記事はこちら。
あと体験型コンテンツとして高橋留美子先生の「うる星やつら」の人気キャラと遊べる「ラムちゃんと鬼ごっこ」というゲームがありました。
何事も経験しなければ本質は掴めない、というのが最近のテーマなので早速プレイ。
指示されたライン上に立つと、前面のスクリーンに自分の姿が映し出されました。
「えっ」と思いましたが、ただ投影されただけでなくリアルな自分が動くと前面の自分も同じように動くブロッケンの幽霊状態。
最初は「何かキモい挙動のオッサンが急に現れた」と勘違いしてましたがよくよく見ると自分だったという哀しみ。
戸惑っていると勝手にゲームスタート。
現れては消えるキュートなラムちゃんに画面の中の自分がタッチをすることで得点が加算されます。
絵ヅラヤバすぎるだろこれ。
客観的に見てアニメキャラを必死に触りに行こうとする三次元のオッサンとかアウトだよ。
(※触りに行かなければ良いだけなのですが、テンパって気づいてません)
そしてプレイルームは外から覗けてしまうので、誰か来てもアウト。
たまたま人気の少ない時間帯でしたので誰にも見られずにゲーム終了しましたが、追い詰められたオッサン特有の油汗をかきながら「このゲームをプレイする時は見張りを立てねばなるまい」と誓いました。(またやる気か)
あとは「やってみたいけどひとりでやってて誰かに見られたらその場で自決する」声優体験コーナー。
ガイナックスのアニメ作品から声を吹き込むキャラを選択できるとのことでしたので「俺なら『オネアミスの翼』のシロツグかなー」とか思ってましたが普通にオープンスペースで多分外に丸聞こえっぽかったので回れ右。
あれはもうちょっと個室っぽくした方が良いのではないでしょうか。
ぼっち観光者にはハードルが高すぎました。
「マンガの家」に足を伸ばす
ひと通り堪能してぼちぼち引き上げるか、となった時に目に留まった「マンガの家」なる施設。
流石マンガ先進県新潟。
情報:
住所:〒951-8063 新潟市中央区古町通6番町971-7 GEO古町通6番町1・2階
開館時間:11:00~19:00
休館日 :毎週水曜(祝日の場合は翌平日)
12月29日~1月3日
入場料 :無料
外部リンク:
地図上では信濃川を渡ってちょっと、くらいの距離かと見たので折角だから行ってみるかと足を向けたのですが、意外と歩くので徒歩の方はやや気合を入れた方が賢明です。
そもそも信濃川が川幅すごくて結構歩くからね。
大通りを歩き、郵便局のあたりで少し小道に入ると町並みに溶け込むようにマンガの家はありました。
一階は新潟の誇るギャグ漫画家赤塚不二夫、魔夜峰央、新沢基栄、えんどコイチ(敬称略)にちなんだ立体造形や原稿展示、漫画本が置かれています。
今回は見るだけでしたが「鏡の角度の加減で自分が6人に映るおそ松くんパネル」「シエーポーズを取って合成写真を撮れるブース」などインスタ映えにも対応。
すいません適当言いました。
しかし「ついでにとんちんかん」の大富豪茨木氏が所有する「こうかな石」のイミテーションなどマニア垂涎展示もあり、満足すること請け合いです。
これを発注した人はどうかしてたと思う。
二階は新潟の誇る作家の単行本や特に新潟関係なさそうな作家の単行本が各種揃っており、これで入場料無料とは頭が下がります。
近くにあったら毎日通うわ。
激烈バカ全巻揃ってるのを見た時は「ジーザス!」って心の中で叫びましたからね。
しかも結構保存状態がいい。
また、定期的に漫画教室を開催しているようで机にはカッターを使っても大丈夫なマットが各席に敷かれ、トレス台も2台あるという嬉しい心遣い。
後進の育成に余念がない印象を受けました。
あと、ちょっと離れたところに「日本アニメ・マンガ専門学校」があり、ここで次世代のクリエイター達が…と思いながら周辺をウロウロさせて頂きました。
そして商店街の入り口付近に立っているあぶさんの銅像。
チョイスがシブい。