自分でも描きました「ゼロからわかるマンガの作り方」レビュー

  • 2018年10月13日
  • 2018年10月13日
  • 漫画

おっさんだって漫画が描きたい、平八です。

 

今夜のレビューは田中裕久先生の「ゼロからわかるマンガの作り方 ~挫折せずに完成させるストーリー&キャラクター講座~」です。

 

今までの人生、趣味で絵を描いたりあまり考えずに4ページくらいの漫画を描いたりしたことはあったのですが、どうも長続きしません。

 

他人に教えを乞うて筋道立てて漫画を描いたことがなかったのです。

 

なので今回は本作から漫画の描き方を教わりつつ、作品を仕上げながらレビューもするというのがテーマです。

 

 

少しずつ負荷を上げていく段取り

 

 

本作はまず2ページ漫画を完成させることを皮切りに、8ページ、16、24、32と徐々にページ数を上げて行きますが、その過程で初心者がつまずきそうなポイントを記載し、それを乗り越えるにはどうすれば良いかを丁寧に書かれています。

 

例えば11ページ

 

 

初心者がマンガを投げ出してしまう最大の理由は、自分のマンガにがっかりしてしまうことです

 

 

わかりすぎてつらい。

 

目が肥えたと言うのもはばかられますが、確かに無意識のうちにプロの面白い漫画と比較して嫌気がさして描くのをやめた時があったかも知れない。

 

そしてそれに対するアンサーが…

 

 

自分の作品のクオリティに対して「鈍感」になることです。

 

 

これはいい。

 

まんが道をデコボコの道路と表現し、歩いて行くには靴底を分厚くしたほうがいいという表現も腑に落ちる。

 

知ってる人には当たり前のことかも知れませんけど「それぞれのページ数で気をつけるポイントが異なる」ことや、ヒット作を例にして「この作品は何がどう優れているのか」を解説して下さったり読み物としても面白いです。

 

ワンピースの一話は確かに良かったが、ではなぜ良かったのか、という講義を受けている気分になりました。

 

 

学校の生徒さんの作例や、張りつめた作業の息抜きのように途中挿入される漫画も面白かったです。

 

 

何故私は漫画が描けないのか

 

 

過去の記憶を振り返り、今までの挫折ポイントを挙げていくと

 

 

 ・集中力が続かない

 ・上手に描けなくてイヤになる

 ・「これ面白くないな」と放り出す

 ・手首が痛くなる  

 

 

大体こんな感じですね。

 

漫画を読む量はそれなりにはこなしたと自負はしていますが、意外と描こうとすると色々引っかかる点が出てきました。

 

本作を読んでいると、真ん中のふたつは前述の「鈍感力」を意識することでクリア出来そうです。

 

よそはよそ、うちはうち、の精神ですね。

 

集中力に関しては自分の今の限界の中でやれることをやるしかないでしょう。

 

集中出来るだけの時間内で作業を終え、ちょっとずつ仕上げることになりそう。

 

手首が痛くなる…。

 

これはもう肉体的な問題なので痛くなる前に小休止を入れたりこういうサポーター付けるしか手はないかなって。

 

こちらは手首が辛い時に巻いてますけど親指に輪を引っ掛けてクルッと巻きつけるだけなので使い勝手がいいです。

 

 

 

 

実際の段取りと作例

 

さて、実際に本作の2ページマンガ制作の段取りをお手本に作品を作った手順を紹介します。

 

 

勘違いをテーマにアイデア出し

 

まずは、「勘違い」をテーマにしたアイデアを複数個考え、その中から一番面白いと思ったものを選択します。

 

私が実際に考えたものはこちら。

 

 ・肉まんかと思ったらあんまんだった

 ・こんにゃくかと思ったらゴムだった。

 ・見積書の桁が一個ずつ違っていたためものすごい額になった。

 ・昼休み、弁当箱を開けたら娘のキャラ弁だった。

 ・SNSですごい可愛いアイコンを使う人と実際に会ったら海坊主みたいな男だった。

 ・女の子がエロい言葉を勘違いして覚えてるのを聞いて幸せな気持ちになる。

 ・問題用紙の回答を一段ずつずらして書いてしまった。もう時間がない。

 ・「俺も孫と遊びたくてどうぶつの森始めたんだよ」と上司がスマホを見せてきたがどう見てもけものフレンズ。

 ・砂糖と塩を間違える。

 ・佐藤君と塩田君を間違える。

 ・内気な女子高生が間違えて兄貴のブリーフを履いて来た。しかも体育の授業がある。

 ・とある映画の内容を間違えて話し始めたがお互いおかしいと思いつつも完走。

 ・恋人が知らない女と歩いてると思ったら祖母だった。

 ・英語で話しかけられたと思い、英語で応対したら実はフランス語だったことに途中で気づいたが、そのまま押し通して納得して貰えた。

 

…本当にこれしかなかったのかという気もするが、まあよしとしましょう。

 

鈍感になるのです…(都合のいい解釈)

 

一コマごとに描写する内容を記述する

 

今回は「勘違い」のアイデアの中から

 

 ・とある映画の内容を間違えて話し始めたがお互いおかしいと思いつつも完走。

 

を題材にします。

 

その題材を元に、漫画のコマに落とし込んでいく内容を箇条書きにします。

 

本来ここまではしないとのことですが、段取りを覚えるため初級者のうちはやった方がいいということでした。

 

 

 ①学校。大人しそうな女子に元気な男子が近寄ってくる。

 ②男子、ご機嫌。女子に薦めてもらった映画がすごく面白かったと満面の笑み。

 ③興奮気味にストーリーを語り始める。

 ④途中から女子が怪訝な顔になる。どうも噛み合わない。

 ⑤ジャンルそのものがズレてくる。ここでようやく勘違いしていることに気づく。

 (ショーシャンクの空にを勧めたのにシャイニングを観てきた)

 ⑥しかし楽しそうに語る男子を見てまあいいかと納得。

 ⑦「あれ、そういやタイトルなんて言ったっけ」とど忘れする男子。

 ⑧「ここまで出かかってんだけどなー。シ、シ…」

⑨「あっ!思い出した!!」

 ⑩タイトルすらも間違えている。

 ⑪人懐っこいドヤ顔の男子と対照的に冷めた目をした女子。

 ⑫「そうじゃねーよ!」結局キレる女子。

 

 

コマ割りをして、下書きを描く

 

 

作成した内容に沿って下書きを描きます。

 

1ページ目。
2ページ目。

 

実はこの時点で段取りが少々ズレていますが、このまま進めることにしました。

 

 

ペンを入れ、仕上げをする

 

 

前項で出来た下書きを元にペンを入れ、トーンとか貼って完成です。

 

 

今は作業は全てCLIP STUDIO(電子お絵描きソフト)で処理しているので加工するのはとても楽です。

 

 

この前導入したショートカットデバイス「TAB MATE」も早速役に立ってくれました。

 

 

 

 

1ページ目・仕上げ。
2ページ目・仕上げ。

 

まあ、後から見ると色々と言いたいこともいっぱい出て来ますけど、ここに至るまでに2ページ目を数回描き直しましたのでもうこの辺りがひとまず落とし所かなって。

 

鈍感になりきれてねえじゃん。

 

 

 

 

次回は…8ページ漫画

 

 

いつになるか見当もつきませんけど。

 

たったこれだけのページを描くのにものすごい時間がかかったので、これの4倍となると軽く「ウェッ」となります。

 

そう考えるとプロの漫画家は大変だ。

 

漫画という作品そのものへの敬意もそうですが、今度から漫画を見る目が変わりそうです。

 

昔こち亀でもありましたね。

 

漫画を読んで笑うんじゃない、(作者の苦労を思って)泣け!!という趣旨のセリフが。

 

あの言葉がやっと理解できた気がしましたよ。

 

 

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