男はいくつになっても下ネタが好き、平八です。
この前行われていた古本市でついに手に入れました。
立石佳太先生の代表作「超人キンタマン」!!(ただしまだ半分)
しかもザ・超人マンという激レアアイテムの一巻まで。
これでテンション上がらない80年代コロコロキッズはおるまいて…
まあ一冊あたり500〜1,000円しましたので結構な出費でしたが。
でももう30年以上前の作品だからここで手に入れておかないと今度はいつ買えるか分からないしなあと多少ためらった後レジに持って行きました。
ところで「ドラゴン拳」でおなじみ小林たつよし先生作「獅子王伝」と坂丘のぼる先生作「ザ・ゴリラ」も入手しましたので(どちらも半端な巻数)別の機会にレビューします。
(※2018年8月追記:「秘拳伝説 獅子王伝」レビュー作成しました)
(※今回のレビューは作品の特性上、不適切な単語を多用します。食事中の方は自己責任でお読み下さい)
お母様方が眉をひそめて当然の内容
(あらすじ)
ウルトラマンの地球での任期終了の報を受け、地球の平和を守るべくM78星雲とは全く関係ないタマタマ星から新たなヒーローが送り込まれることとなった。
その名も超人キンタマン。
これは、キンタマンと固い友情で結ばれたバカラス、お面ライダーマン、ヒヨコ達超人の激闘の記録である。(一部誇張表現あり)
こんな短いあらすじの中に不穏な単語がふたつも入ってるのがこの漫画の特徴を表していると言えます。
私の中でも結構忘れてるところもあったので新たな気持ちで再読しましたけど「ああダメだこんなの子供に大っぴらに読ませられない」と、そのハレンチな内容に嘆息しました。
これがコロコロ表紙のメインを飾っていた号もあるかと思うとあの頃は皆どうかしていたのではないでしょうか。
・まず何かと言うと大小便を出す。
(子供は大喜び。)
・どっかで見たようなキャラが所狭しと暴れ回る。
(オールスター感にキッズ喝采。)
・テンポのいいドタバタギャグ。
(これはまあ、いいとしましょう。)
・タイトルの割に男性器の露出は少ない。
(読者投稿コーナーでも「ロボッ太くんの方が多くない?」とネタにされてました)
他にもしばらく風呂に入ってないとか下着が汚いとかまあ考えうる限りのアンダー15レベルの下ネタが盛り込まれています。
保護者にウケるわけがない。
でもまあ子供はこういうの大好きだよなあ。
私? 大好きですけど?(真顔)
一時期は本誌に二本同時掲載とか別冊コロコロでザ・超人マンも執筆されてて実質月二本とか結構やってたことからも当時の人気がうかがえるというものです。
かく言う私も親に読み聞かせるほどハマってましたからね。
夕食の準備をしながら今月のキンタマンを息子に読み聞かせられる母の心境はどんなだったでしょう。
マジであの時は申し訳ありませんでした。(こんなところで謝罪すんな)
異様な世界観と言葉遊びの妙
意外なことに、作中の登場人物はキンタマンをいやらしい言葉として認識してます。
こんなイカれた世界観でなんでそんなとこだけマトモなんだよと言いたくもなりますが、事実なので仕方ありません。
私がいまだに好きなギャグでこういう下りがあります。
部下の「人のこと言えねえだろ」という沈黙が素敵。
キンタマンの親父の名前を聞いて全力でコケたり日頃ウンコ金玉で盛り上がる彼らは意外に正常なのです。
他にも水着の女性とか女風呂とか異性に反応を示したり、「実はこいつら結構フツーなんじゃないか」と思わされたりもします。
まあちょっとはマトモなところもないと話が進まないというのもありますが。
「この料理は俺のものだ、ツバつけとこ」→「なにをーっ! ハナクソつけとこ」→「やりやがったなーっ!うんこつけとこ」なんてことをすぐやる連中なので目が離せません。
全力で流行りに乗っかるスタイル
ここ最近コロコロ創刊伝説でほじくり返されたから記憶に新しい方も多いかと思いますけどオガンダム登録抹消事件とかね。
今にして思えば何でやりやすいはずのマクロスでやらなかったんだろうって。
エスパー太郎との競合を避けたんでしょうか。
他にも「きもちんよか〜」でおなじみサロンパスを武器にする超人とか、中学校に吹き荒れる校内暴力の嵐を取り上げてみたり意外と時事問題にも積極的に取り組んでいます。
その結果「ああそういやあったなこんなこと」と当時を懐かしむという楽しみ方も出来ます。
これもパロディ漫画の醍醐味のひとつでしょう。
平八的フェイバレット超人
アホラス
バカラスの兄という美味しいポジションのプラモ戦士。
画面に出てきた時の破壊力がすごい。
一目で「やべえ奴が来た」と分かる秀逸なデザインと言動。
主役級ロボットの兄弟機という燃える設定をこんなことにしてしまう立石先生の手腕に脱帽です。
南斗下骨茶
宇宙最強の拳法・宙殺神拳の伝承者。
まあ流行ってましたからね「北斗の拳」。
彼も何度か登場していたので原哲夫先生から黙認されてたか、オガンダムの件で学習して許可を取ったかのどちらかでしょう。
原先生は太っ腹であるという新沢基栄先生の証言もあることですし、前者かも知れません。
彼の初登場回は妙にテンポが良くてスラスラ読めていっぱい笑えて後に何も残らないという秀逸な回でした。
特にこの2コマ堕ちが最高。
お面ライダーマン
仮面で素顔を隠した中年超人。
その正体は縁日で仮面を売っているオッサンであることを示唆されたが、素顔がえげつないらしいので別人かも知れない。
当時は別にレギュラーメンバーの中でも好きでもなかったんですけど(弱いしおじんくさいし)、彼の年齢に自分が近づくと「ああ中年頑張ってるなあ」と胸が熱くなって来ます。
他のメンバーが
キンタマン→中学校に進学する話があるので推定小学生。
ヒヨコ→推定小学生。
バカラス→製造から数年?
と若手ばかり。
フレッシュ感あふれる超人達の中で高血圧発作や体の痛みに耐えながら彼らと互角にハイテンションギャグを繰り広げる姿に感銘を受けます。
全ての中年はお面ライダーマンに学ぶべきなのです!(暴論)
金太 真無代
キンタマン(和名:金太 満)・二小次郎の母、舞次郎の妻。
キンタマンは「母上」と呼ぶので結構しつけは厳しかったのかも知れない。
まあこの人(↓)の奥方なのでやっぱりどこかおかしいというか。
ルックスは若々しくて奇麗ですけど、ツッコミの難しいボケをしてくるところがリアル母親っぽいと思いました。
あと実の息子に平気でこういうこと言う自由さが好きです。
超人マンとは何だったのか
何だったんでしょうね…(終了)
いやまあ「別冊コロコロは独自色で行く! キンタマンではなく超人マンだ!!」という意志表明だったのかも知れませんけど劇中で超人マンと呼ばれたことなんて数えるほどだったように思います。
(手元にある1巻でも一度自分から「私は超人マンだ!」と言ったきり)
木多康昭先生の初期傑作「幕張」にあった「ジョルノ・ジョバァーナのこと誰もジョジョって呼んでねーじゃねーか!!」というギャグを連想しますね。
中身は結局「キンタマン」なので大ハズレはしませんし、キンタマンファンならオススメしたい全2巻です。
まあ…現状足を使って古本屋を巡るかAmazonに頼るかコミックパークの復刊サービス(有料)を利用するか国会図書館で読んでくるかぐらいしか手段がありませんが。
何だよ結構あるじゃねえか…
はじめての「アレ? 表紙しか描いてない?」
小学生の頃の私は立石佳太先生に心酔しておりましたので、こういった冊子もチェックしておりました。
幼かった私は「表紙に描かれた超人が本文でも大活躍するんだ…」とワクワクしながら読み進めましたがいつまで読んでも出て来ない。
最後まで読み切ってようやく「やられた」と気づきました。
著者のめぐろさぶろう氏には特に恨みはありません。
中身は結構ボリュームのあるなぞなぞブックで読みごたえはありましたし。
こうした「表紙に人気作家を起用して読者を釣る」方式はポピュラーと言えばポピュラーなので多くの人に手に取ってもらうためには必要なのでしょう。
それにしたってこりゃねえよな。
当時ガキの財布から650円って大金だぜ?
しかしこの後も私はこの手の「好きな作家が表紙しか描いてない販売戦略」に幾度となく引っ掛かり、枕を涙で濡らす夜を迎えることになるのですがそれはまた別の話。
まとめ
親が読ませたくない漫画だって、面白いものは面白い。
正統派漫画も勿論面白いのですが、こういう「押し入れとかに隠れてこっそり読むハレンチ漫画」の楽しさも子供のうちに経験しておきましょう。
ちなみに私の正統派少年漫画のおススメはこちら。