学生時代に喜国作品を読みました、平八です。
喜国雅彦先生が還暦を迎えられた記念に個展を開かれましたので、行って参りました東京古書会館。
※開催期間は2018年11月30日(金)~12月8日(土)につき、現在は終了しております。
外部リンク:
麻雀まんが王、まんが大王の読者でした
学生の頃、近代麻雀三誌を購読していた繋がりで喜国先生の「mahjongまんが王」「mahjongまんが大王」を知り、そのどっからでもかかって来いな作風に若かりし頃の私は衝撃を受けました。
具体的には当時人気を博していた漫画をお下品な麻雀パロディに染め上げてしまうという。
せっかくなので個展で撮影した原稿の写真を使わせて頂きますが、こんな感じ。
ちょうど私達が子供だった頃に流行した「聖闘士星矢」のパロディなんですけど、「青銅聖闘士はマッハ1のスピードで動けるけど白銀聖闘士はマッハ2で動くから強い」という設定を拾って活かしてるのが地味にウケるというか。
何でそんなところ真面目なんだろうと思ってしまいました。
あとネームで笑ってしまう「ガラスの仮面」のパロディ。
モブの女の子達、完全にバカにしてるじゃねーか。
上記の「mahjongまんが王」「mahjongまんが大王」は2018年12月現在、マンガ図書館Zで無料で読めます(ただし吐くほど広告出る)ので、興味がわいた方は是非ご一読下さい。
下記リンクのマンガ図書館Zで「まんが王」「まんが大王」で検索をかければ出てきます。
外部リンク:
Kindleで電子書籍になってないか探していたのですが、ちょっと視野が狭くなっていましたね。
気をつけたいと思います。
多岐にわたる作品の数々
漫画読者として主に喜国作品の原稿を拝みたい、という目的で展示会場を訪問しましたが、私の想像以上に多岐にわたる活躍をされていたことが分かる展示物の数々。
私の知っている喜国雅彦と言えば名作「タッチ」のパロディで「アソコがタッチッチのタッちゃん」とか最高に面白いけど最低なネタで勝負するギャグ作家だという印象が強かったので、数々の意外な一面が見られて非常に興奮しました。
だって展示物見てたら結構青春ものとか描いてらっしゃるじゃないですか。
飄々とした青年と少し陰のある青年のロードムービー的な物語なのでしょうか。
続きが気になりますね。
他にも「傷だらけの天使たち」、ロック系雑誌の漫画、ミステリー小説の装画、挿絵がかなりの枚数展示されていました。
写真は装画の打ち合わせに使われた下描きで、壁には綾辻行人先生の「館シリーズ」と称される文庫の装画がカラーで展示されていました。
一見平和な風景の中に隠れる髑髏など、違和感を感じたり不安を掻き立てられる不思議な作品です。
こちらはミステリ小説の挿絵の一部。
いかにも陰惨な事件が起こりそうな雰囲気の挿絵など、先生が手掛けたジャンルの幅広さに驚かされます。
このように会場には様々な展示があったのですが、自分が一番心惹かれたのはこちら、「持ち込み時代のボツネーム」。
そして添えられた
「夢をあきらめない」とはこういうこと
個展・メッセージカードより引用
の言葉。
やっぱりこう、肉筆の作品は胸に迫るものがあります。
先生の物持ちの良さにも結構驚いているのですが、おそらくこれらのネームが編集者との打ち合わせに使われ、ボツが出た後に様々な葛藤があったはず。
それでもあの時諦めなかったから今があるという証として展示されたのでしょう。
また「その気持ち分かる」となったのが「好きな作家の挿絵を勝手に描く」展示。
どんなに頑張って挿絵を描いても、大好きな戦前の探偵小説家さんから依頼は来ない。
だって、もうこの世の人ではないから。
ということで『本格力』の連載の中に「勝手に挿絵」というコーナーを作って、好きな作家の小説の挿絵を勝手に描いていた。
個展・メッセージカードより引用
実際思いついても実行に移すところがすごいと思いました。
あと喜国先生の手によるキュートなGIRLSギャラリーもあったのですが、割ときわどい作品もあって写真を本稿には載せられませんので、私が楽しむだけにします。
「いずれは女の子の絵だけ描いて暮らしたい(意訳)」とのメッセージカードの言葉にも同意せざるを得ないですね。
同じ空間に喜国先生が
ちょうど私が現地に着いた折、喜国先生と奥様の国樹由香先生が旧知の仲と思われる方と歓談してらっしゃいました。
まさかご本人がいらっしゃるとは思わなかったのと、実のところ喜国先生のお姿を写真でしか存じ上げなかったので「まさか…いや、まさかね」と若干気もそぞろ。
しかし周りの雰囲気からどうやら本物(と言うのも失礼か)だと分かるも、私はお声がけすることもできず展示を拝見し終わった後は何事も無かったかのように退室しました。
来客の応対に忙しそうだったこともありますが、前述の通りそれこそほんの一部の作品しか読んだことがなく「喜国先生!お会いできて光栄です!還暦および個展開催おめでとうございます!!」のようなテンションでご挨拶するにはあまりに私はにわかすぎると及び腰になったというのが正直なところです。
ただ、もっとロックな外見を想像していたのですが、とても若々しく穏やかな印象を受けましたね。
頂いた「おみやげ」
個展の入り口では、何と原稿から剥がれたという写植を「おみやげ」として置かれていました。
さすがにどの作品からのものかまでは分かりませんでしたがテンション上がりましたね。
で、色々と吟味して私が頂いたのがこちら。
時代と喜国先生のセンスをすごく感じる。
あとは絵葉書も記念に頂きました。
還暦を迎えていよいよご健勝のご様子でしたので、今後のご活躍をお祈りし、本稿を締めさせて頂きます。