色っぽい表現に迷える不惑、平八です。
今夜は林 晃先生著「女の子のカラダの描き方」の続編とも言うべき「色っぽく見せるテクニック」編のレビューです。
前作:
セクシーとはこういうこと、を詳細に解説
色気のある女の子が描きたい。
でもどうやって描けばいいのか、まずそこから悩ましい。
本作はそうした悩める絵描きのための教本になっています。
教本の序文などはつい飛ばしてしまいがちですが、セクシーとはどういうことかをきちんと言語化し、本作におけるセクシーの在り方を端的に示しておられますので是非頭に入れましょう。
・色気というのは「みんなが目を釘付けにされる」パワーのことです。
・色っぽさで人の心をつかむには、「テクニック」が必要なのです。
P6.「はじめに」より抜粋
そしてここから色っぽさについて学ぶのです。
まずプロローグで「お色気表現5大ポイント」として色気とは何かを説明し、各章ごとにより詳細に解説されます。
5大ポイントとは
1.隠す
2.ポーズ
3.表情
4.カメラワーク
5.演出
であり、場合によってはこれらを複合してお色気を表現します。
その際複数の作家による作例が提示されるため、視覚的に「なるほどこれがセクシーか」と読者の理解も深化。
決していやらしい目的で買ったわけではなく、自らの絵をよりセクシーなステージに上げるために必要な過程なのです。
まあ別にいやらしい目的で買ったとしても問題はないと思いますが。
さておき、各作例についても「このしぐさはどういう色っぽさを表現しているのか」「この描写でセクシーさを魅せたいならここに気を配ってほしい」等々解説が添えられていますので、両方を見比べながら読み進めると飲み込みも速くなるでしょう。
アングルで魅せる色っぽさ
各章とも非常に勉強になるのですが、私が特に参考になると感じたのは「第2章 カメラワークで差をつける! グッとくるカメラアングル」です。
アオリやフカンを駆使した大胆なカメラアングルの数々。
本章では多数の作例を通して絵は漠然と描くのではなく、バストならバスト、ヒップならヒップと強調したい所を意識して描こうということに帰結します。
その手段としてカメラワークを考えながら描くという。
絵を描くというのは頭を使うことだと改めて意識させられますね。
で、ここで私が好きな概念が「マンガパース」。
本作ではアオリで広角的に描くと小さくなるパーツ(頭部など)を実際の広角より大きく描くといった手法を指しています。
言ってみれば漫画的なウソ。
ただしそれは否定的に語られるのではなく、「絵の魅力を引き出すのならこういう手法もありますよ」と紹介されています。
大事なのは魅力的かどうか。
セクシーに描けるのならば、多少の現実とのズレは問題ないであろうということですね。
まあそもそも漫画絵自体がリアルでなくてもいいしな。
色っぽさとは可能性の獣
ひとつ断っておきたいのは、セクシーは人の数だけ存在するということです。
個人的に本作で語られる色っぽさの中には「もう一歩ほしい」描写も正直ありました。
例えば非常に細かい話ですが、ペロッと舌を出すしぐさだともっと分厚い舌がいい、みたいな。
逆に「そんなとこどうでもいいだろ…」と思われそうなことですが、読んでて気になったのは確かです。
しかしこの本はあくまできっかけであり、自分が何にセクシーさを感じるのかと向き合うためのものだと考えています。
唇の変形とか参考になる箇所もいっぱいありますし。
本作で記載されている作例はレート分けするならばR-15くらいかなと感じるのでギアを上げていくのはあなた次第というか。
そこから先は我々読者の試行錯誤の領域になりますが、人間意外と自分の感動を言語化することは少ないので(もしかして言語化自体を無粋と感じて無意識に避けているのかも)そうしたものが逐一文章になっているのは非常にありがたい。
というか感情を言葉で事細かに示すって難しいし面倒くさいからあまりやりたがらないのかも。
「セクシー?そんなもんお前の本能に従って描けよ」と突き放されては我々も迷ってしまいますからね。
なぜ自分は今そこにある事象にセクシーを感じたのか。
自分の中のセクシーを追求する足掛かりとして本作は活用されるべきだと思います。
まとめ
日常に潜む色っぽさを追求する教本。
序文にもあったようにただ肌面積が広ければセクシーなのではなく、色気とはテクニックなのだという認識を大事にしていきたいと思います。
ところで本作には私も最近注目している愛上陸先生が入浴シーンを6ページほど描かれているので、先生のファンであれば要チェックかと。
影とかグレースケールでめっちゃ塗ってて気合入ってるの。