紫陽花

書籍の自炊に注意!目的をノリで建て増しすると痛い目にあう話

本を捨てられない性質に悩んでいます、平八です。

 

目的を見失って明後日の方向にたどり着くこと、皆さんもありませんか?

 

私は趣味と実益を兼ねて自炊をしているのですが、その折の失敗談から「こういう思考の流れは危険だ」という話をさせて戴きます。

 

ここで言う自炊とは本をバラしてスキャナで取り込み電子化することで、私も部屋をスッキリさせる目的で2年ほど前から取り組んでいます。

 

当初の目的は断捨離

 

ことの始まりは当時およそ500冊程度あった本(マンガ7割)をどうにか処分して部屋のスペースを空けたいと思い至ったことなのですがその際ドキュメントスキャナーとしてCANONのDR-C225Wを、フラットベッドスキャナーとしてエプソンのGT-X830を用意しました。


Canon ドキュメントスキャナ imageFORMULA DR-C225W


EPSON スキャナー GT-X830 (フラットベッド/A4/6,400dpi)

「何でふたつ?」と思われた方のためにざっくりとご説明しますと、ドキュメントスキャナーは

 

・給紙口にスキャンしたい紙の束をセットすると自動でスキャンしてくれる
・カラーには弱いがモノクロ、グレーには強い
・大量スキャン向け

 

という特徴がありフラットベッドスキャナーは

 

・1枚1枚スキャンするためにパカパカ開閉する必要がある
・カラーの再現度が高く性能の良いものはフィルムの読み取りなどにも使える
・高画質スキャン向け

 

となっており、両者は用途に応じて使い分ける必要があります。(※フラットベッドは本当にピンキリで自分がどこまでの画質を求めるかによって機種が変わります)

 

例えば200ページある小説をフラットベッドでスキャンしようとするとフタを開けて原稿セットして裏写り防止の黒紙を敷いてフタを閉めてスキャン、という工程を200回繰り返す必要があります。
控えめに言って地獄です。

 

逆にドキュメントスキャナでカラーページや表紙カバーをスキャンするとカラーの色合いが物足りなかったりしてうまくありませんでした。

 

こういった経緯からまず大量の冊子を捌けるドキュメントスキャナーを購入し、カラーページおよび表紙などを取り込むためにフラットベッドスキャナーを後から購入したのです。

 

迷走の始まり

 

実はここで私は既に迷走の第一歩を踏み出していました。

 

元はと言えば溜め込みすぎた本や書類を部屋のスペースを空けるために整理する、というのが一番の目的だったはずが、「どうせなら出来るだけ綺麗に保存したい」という欲が出て目的を建て増ししてしまったのです。

 

それがカラーに強いと言われるGT-X830購入に踏み切った理由でした。そしてこの「出来るだけ綺麗に」というのが非常に曲者で、その基準は当人の満足によるところが大きいのです。

 

画質、解像度、色の再現度…こだわり出したらキリがありません。

 

それでもそのあたりは最初に設定を決めてしまえば後はスキャンしていくだけなのですが、私はドキュメントスキャナー特有のスキャンの際に紛れ込んだゴミによる線を非常に気にしていて一冊スキャンし終わると作品の頭から画像チェックをし、線が入ったページを見つけては再スキャンという作業に没頭しました。

 

スキャン時の問題点

 

この線はスキャナーの読み取り面などに貼りついたホコリによるものなので一旦線が入り始めると隔ページごとにズバズバ入る性質があります。

 

よって1ページ縦線を見つけたら一個飛ばしで縦線入ってるのは想像に難くなく、見つけるともう憂鬱すぎます。

 

こういう作業を全ての本に対してやろうとすると時間が湯水のように消費されていきます。

 

加えて、解像度や画質を高めに設定してしまうと更にえらいことかかります。

 

DR-C225Wの能力はCANONのホームページで1分あたり25枚(200dpi)としていますがこれは設定やスキャンする原稿の密度によって全然違いますのであくまで目安として考えましょう。

 

ちなみに私の設定だとシグルイ(※残酷時代劇漫画。絵の密度が濃い)一冊スキャンするのに1時間くらいかかります。

 

これに上記のスキャンデータチェック時間を合わせると全工程で3時間かかったことがあります。

 

自分で決めた設定とはいえ一体何をやっているのかと疑問がわいてくるようになりました。

 

費やした時間に見合うのか?

 

そしてそこまでしてやっと本文がスキャンできたに過ぎず、ここからはフラットベッドスキャナーの出番です。

 

GT-X830はA4サイズではあるものの表紙カバーを丸ごとスキャン出来るほど大きくないため裁断するか折り込むかしないといけません。

 

この時もホコリが入ったら台無しなので細心の注意を払いつつ、一回一回スキャン面をスプレーしてホコリを飛ばすという段取りで読み取っていきます。

 

また、雑誌などのカラー写真ページは裏写りしやすい紙質のものが多く、透過しないように同じかちょっと大きいくらいの黒い紙をページの裏面にあててスキャンするという作業も必要になります。

 

で、ここまでやって身もふたもないことを申し上げますと大部分は再読しなかった。

 

逆にそこまで気張らずにカラーも適当にドキュメントスキャナーの方で処理した資格試験の参考書の方が何度も読み返しました。

 

そのことにある日はたと思い至り、じゃああの時間はなんだったんだと愕然となりました。

 

そうだ、ルールを作ろう

 

当初の目的を忘れ迷走した私でしたが、本来の目的に立ち返り、ルールを作ることにしました。

 

・再入手困難な書籍かつ思い入れのある本はこだわりスキャンで
・再入手が容易な書籍はそれなりスキャンで

 

簡単ですがこれで一線を画すことにしました。

 

例えば今より電子本技術が発達してなかった十数年以上前の本で多分もう再販もなさそうな(失礼)ややマニア向けな本のみ画質を上げてチェックも入れたスキャンをし、既に電子書籍になってたりするメジャータイトルはもうそれなりの画質でやっていこうと決めました。

 

ここでようやく本来の目的である部屋のスペース拡張に立ち戻ることが出来たわけです。

 

そもそも本に刃を入れてバラしてしまった時点で最早元の形ではなく、そこである程度割り切るべきだったのです。

 

その割り切りが不完全だったせいでGT-X830という私の手に余る機種を購入したと言えます。

 

確かにカラー再現度は素晴らしく、雑誌のカラーページを取り込んだ際は「おおっ」と思わず感嘆の声を上げましたが私の家にはマックス解像度6,400dpiというスペックは荷が勝ちすぎたようです。

 

いずれは必要になるのかも知れませんが、現状では大体600dpiもあれば十分すぎる使用環境なので今更ですけどもっとグレードを落とした機種でも良かったかと思います。

 

まとめ

 

ここから得られた学びは

 

・目的を設定する際は慎重に行い、そのための道具を選定すること
・最初の目的を忘れないこと
・目的を追加する場合は最初の目的に反しないか検証すること

 

ということでした。

 

こだわるのはよいことですが、こだわり過ぎて本来の目的を忘れないよう物欲を制御していきたいものです。

 

紫陽花
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