「ビッグ錠とその仲間たちPART5 ビッグ錠の66.50展」訪問手記

初ビッグ錠は塾師べんちゃん、平八です。

行って来ました「ビッグ錠とその仲間たちPART5 ビッグ錠の66.50展」

その忘備録です。

会期 2023年3月18日(土)~22日(火)
会場 〒252-0804 神奈川県藤沢市湘南台2丁目
湘南台駅地下アートスクエア
入場時間 13:00~17:00

 

会場は湘南台改札すぐ

 

 

今回は地下鉄で会場入りしたのですが、湘南台駅の改札出たら目の前で展示やってて面食らいました。

 

 

迷いようがないロケーション

 

土地勘がないので展示場を探すのに時間取られるかなとか考えてたら探す手間が省けたので。

湘南台駅の改札前が割と大きなスペースになっているので普段から催し物とかしているのでしょうか。

何にしろ迷う心配も天候の心配もないナイスな会場でした。

私が現地に到着した時はメインイベントであるトークショーまで少し時間がありましたので、まずは展示物を拝見。

日本の歴史とビッグ先生の作品の歩みを確認し、個別展示に目を移します。

今回の原稿展示は特に料理をテーマにしているのか、ビッグ錠作品からは味平などグルメ漫画の原稿をチョイスされているようでした。

展示会のタイトルにも示されており、後の対談でも語られるのですが、先生はこの街に越してきて包丁人味平を始められ以来地元に密着しながら漫画家人生を歩んでこられたとのこと。

今回の展示でそれが強く感じられたのが、先生の手による町内イベントの告知ポスター。

 

ビッグ錠先生の浴衣姿だ!

こんな贅沢な町ある?

思わず「マジかよ」って呟きました。

この町の子供達の中には何も知らずにビッグ錠先生のポスターを毎年見て育つ子もいるんだろうなと思うと不思議な気分です。

ところでちょっと気になったのが、この告知。

 

喰い逃げって…

これはもう密着というより癒着では?

それは冗談として、こうした冗談が通るほどに地元に愛される作家なんだと感じました。

 

料理漫画界のビッグネーム対談

 

私が訪問した18日は生憎の雨でしたが、この日はビッグ錠先生、「ミスター味っ子」の寺沢大介先生、「味いちもんめ」の倉田よしみ先生と料理漫画界の重鎮がそろい踏みするトークショーがあったため大勢の人で賑わい、会場のボルテージは静かに高まっていました。

開会の挨拶に市長や議員の方も駆けつけるくらいなのでなかなかに大ごとになっています。

司会の方の前説があり、お三方の心の準備に少し時間が必要だったとのことで実際にトークショーが始まったのは14時を少し回った頃でした。

複数のトークテーマが提示され、それについてお三方が答える形式で、途中戦後の日本史を交えつつ終戦直後6歳だったビッグ少年がいかにして漫画家を志したか等の興味深い話が聞けました。

今はもう廃れた貸本屋文化が大きな影響を与えたエピソードを聞き、人生について語る時、時代の影響を抜きにしては語れないんだなと妙に納得します。

米穀通帳を持って行けば身分証がわりになって貸本屋で本が借りられると言うのは知らなかったというか、そもそも不勉強にして米穀通帳を知りませんでしたし。

そんな時代にビッグ少年が貸本屋で手にした手塚治虫の宝島(敬称略)はそれまでの漫画表現と一線を画しており、衝撃を受けたとのこと。

偉大な才能が若い才能に刺激を与え、開花させるというのはそれ自体がまるで出来すぎた物語のようですが私はそういうのが大好き。

更に寺沢先生、倉田先生もそれぞれ漫画家となった道程を語られます。

倉田先生は幼少期に大病を患った際、病室でずっと絵を描いていたという、絵で生計を立てる兆しのエピソードを静かに語り、寺沢先生は「通勤電車とか無理だと思った」とおどけて笑いを誘います。

また各先生方の作品についての話になった時に「カレーに麻薬はマズイでしょ」と包丁人味平のカレー戦争にツッコまれたビッグ先生が「いやそんなことはやってない」と否定されてましたが、あの時会場に集ったギャラリーは「いいや、やってた」とほぼ全員の気持ちがひとつになったであろう瞬間が面白かったり実に濃いトークショーでした。

そしてシメは唐突に始まるジャンケン大会。

賞品はトークテーマ「思い出に残る料理」で用意された各先生が料理を描かれた紙の皿。

一点ものなので貴重には違いないのですが、どう反応してよいやらと思っているうちにジャンケンはサクサク終了し、トークショーは閉幕しました。

こんな豪勢なトークショーを無料で楽しんでいいのか、と思うくらい満足度が高かったのですが、それとは別の方面で身体に負荷がかかったというか会場が物理的に寒かった。

前述の通り、その日の神奈川は日中雨が降り続き、気温も上がらずたいへん肌寒い状況。

場所は改札前の吹きっさらし。

地下なので少しはマシだったのでしょうがそれでもカイロ持ってくりゃよかったと思う程度には底冷えしました。

 

私とビッグ錠先生

 

私は旧コロコロキッズで時々別冊コロコロも買ってたのでビッグ錠先生を初めて意識したのは「塾師べんちゃん」なんです。

ビッグ漫画独特の線の勢いの良さに圧倒されたし主人公が私塾の講師という設定を活かしたタメになる勉強法が心に刻まれました。

未だに印象深いのはカンニングするつもりで勉強する利悪の術ですね。

効率的に勉強する理論に人の心の働きをも組み込む手腕に惚れ惚れしたことを覚えています。

それ以外にも断片的ながら引っ込み思案な子が落語を学んでクラスの人気者になる話や、人の記憶が定着する仕組みを利用した「夜勉強した内容をあくる朝もう一度学習して記憶を定着させる」技など知的興奮を刺激する内容に心躍ったものです。

その後は少し時間を空けて、包丁人味平や満太郎など食シリーズ漫画を主に読ませて頂きました。

その中で言えば前述のカレー戦争とかすごく面白かったですね。

あのギリギリまでどちらが勝つか分からない展開と、それぞれキャラクターが活きて物語に参加している構造がお気に入りです。

 

ちなみにカレー戦争の発端となった百貨店競争は実際あの時代に頻発していたようで、立地のモデルが明確にあるとトークショーでも語られていました。

 

町とともに、いつまでも

 

ビッグ錠が広報してる町って改めて考えてもすごいですね。

先生は以前より「この町をチョッとだけ面白くしよう会」の会長として活動しておられたようで(今は名称が変わった?)、今後ともご健勝で活躍されることを願っています。

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