アドベンチャーゲーム大好き、平八です。
今夜はいにしえのアドベンチャーゲームの再現度高いゲーム「伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠」のレビューです。
※本記事はストーリー上の核心的なネタバレは記載しませんが、ゲーム上のギミックに言及する部分がありますので未プレイの方はご注意下さい。
FC版オホーツクに消ゆ世代ねらいうちゲー
<あらすじ>
東京で起こった変死事件。
事故か他殺か、奇妙な遺体の足取りを追う刑事(プレイヤー)達は捜査を進めていくうちに何かに導かれるように黒真珠の産地・伊勢志摩へと辿り着く。
公式サイト:
Nintendo Switch『伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠[いつわりのくろしんじゅ] 』伊勢志摩を舞台に繰り広…
この導入。そしてこの古式ゆかしいインターフェース。
キャラデザインにあの荒井清和先生。
私世代のゲームファンとしてはFC版「北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ」を意識せざるを得ない。
当時はまだ小学生でしたけどポートピア連続殺人事件、ファミコン探偵倶楽部、探偵神宮寺三郎シリーズが大好きな子供でした。
今にして思えば家族が集まる居間のテレビで殺人事件を解決するゲームに熱中してる子供って親の目にはどう映ってたんでしょうね。
本作はそんな元ゲームキッズのツボを明確に突いて来る仕様になっています。
手がかりのない状態からコマンドを色々試し、聞き込みをし、証拠を突きつけて謎の扉をこじ開けていく。
いっぱしの探偵気取りでテレビを前に頭を捻っていた少年時代を呼び起こしてくれるような正統派アドベンチャーゲームが本作なのです。
難点といえば当時の雰囲気やゲーム中のフォントを再現しすぎていて、Switchのポータブルモードだと吐くほどセリフや文章が読みづらいです。
(注:エンディングまでプレイ後、フォントがいじれることを知りました)
あの、昔のファミコンとかのフォントって画数の多い漢字になると潰れて読みづらくなってたじゃないですか。
本作もあんな感じで、似たような名詞が3つほど並ぶ場面があるんですけど黒地に白文字がにじんでどれがどれだか分からなくなるんですよ。
これは予想外のストレス。
ていうか私の体が昔より大人になったからなのか。(もしかして:老眼)
あと繰り返しになりますけど本当に「あー80年代のアドベンチャーてこうだったなー」と思わせる総当たりコマンド方式。
「もう目の前にいるんだからそのまま話聞けばいいじゃん…」な時にもコマンドで呼ばなくてはならない。
改めてやってみると本当に面倒臭い。
上野駅で似たような場所を四ヶ所回らされた時は辛かった。(かなり序盤)
気づいたこと、も何回か聞かないと話が進まなかったり、良くも悪くも「あのころ」を再現したゲームです。
しかし人間とは大したものでだいぶシステムに慣れてくるとストーリーに夢中になり、一気に攻略してしまいました。
ストーリー自体は正統派ミステリーで、随所でオールドファミコンファンをニヤリとさせる演出、理不尽なミニゲームなど数々の困難を体験できて税込1,000円ということを考えるとなかなか満足度は高かったです。
<設定変更方法>
タイトル画面で「+ボタン」を押すと設定画面が開きますのでそこで各種設定を変更します。
また、電子書面の取り扱い説明書を確認することもできます。
あえて教訓を求めるならば「説明書はちゃんと読みましょう」ですね。
ゆとり刑事純情派・ケン
古きよきアドベンチャーゲームを再現しまくった本作ですが、それでも昔のままではいられないというか現代風に解釈された点もあります。
例えば
・コマンドに「スマホつかえ」が追加された
・捜査中、スマホで次に行く場所の正確な住所を入手する
・コマンドが相棒に対する指示の形になっている
・相棒である後輩・ケンがゆとり
プレイした方には分かってもらえるかと思うのですが、これを狙ってやったとしたらシナリオ担当すげえと思いました。
下の画像は「オウちょっと聞き込みして来いや」と命令を出し、暫くして帰ってきた時のケンです。
素人探偵ものならまだしも、コイツ本職だよな?
食べ歩きついでに聞き込みしてんじゃねーよとそのダルい人物造形にムダにイライラしてしまいます。
それ以外にも「どうでもいい細かいことにツッコミやがって…他がお留守になってんぞ」とかかなり私の心を乱してくれましたので、キャラクターとしてはものすごく成功してると思います。
フォローしておくと、最初の頃は新人類だった彼もやがては刑事の自覚を持ち、成長の片鱗を見せるようになります。
最後の方は「おお…あんなにテキパキと…立派になって…」と目頭を押さえる場面もありましたね。
ラストの若者達の語らいは結構しんみり来ますので、是非プレイして確かめて下さい。
あの頃俺は若かった
私は小学校の頃、自分で「オホーツクに消ゆ」のゲームブックを作ろうとして挫折したほど一時期ハマっていましたので、本作をプレイしているとどうしてもオホーツクの影がチラつきます。
そして比べることに意味はないと分かっていながらも、どうしても「あの頃はああだったなあ」と湧き上がる気持ちが抑えられなかったことを白状します。
具体的には小学生当時より私のイマジネーションが落ちたせいだと思うのですが、本作のプレイ中に伊勢志摩という場所がイメージし切れませんでした。
イマイチプレイの没入感が出なかったというか。
そもそもオホーツク初プレイ時って北海道行ったことすらなかったけど私の脳内には北海道イメージ出来てましたからね。
年は取りたくないものです。
しかし、本作には当時オホーツクをプレイしていたからこそピンと来る攻略ポイントもいくつかあります。
ピンと来すぎて変な先回りをしてしまったくらいに。
多分本作をプレイされた方は「ああ、あれね」と察しがついたかと思いますのでこれ以上は申しませんが、あれ初見の人が普通にやって解けるんでしょうか。
いらぬ心配とは分かってはいるのですが。
私などはあの場面で「おいおいこのギミックは意地悪っしょ〜まあ俺はあの頃の生き残りだからクリアできるけど〜?」という嫌な優越感に浸りました。
あと、荒井先生キャラデザなのでどうしてもオホーツクの相棒シュンを思い出して本作の相棒ケンと比べてしまう。
今にして思えばシュンはものすごくできた部下だった。
多分ケンがオホーツクの相棒だったら「管轄が違う」ことを理由にナメた口をききまくると思う。
まとめ
ミニゲーム、つらい。
あそこ切り抜けるのに30分かかったもんな…
これからプレイされる方はそこで心が折れないようご注意下さい。