Visual Basicのさわりだけで挫折しました、平八です。
今日は令和に石野あらし大復活、「ゲームセンターあらしと学ぶプログラミング入門 まんが版こんにちはPython」のレビューです。
あらし達と対話形式で学ぶPython入門書
本書を特におススメしたいのは
・これからPythonを勉強したいけど、まずとっかかりが分からない。
・往年の「ゲームセンターあらし」ファンで久しぶりにあらしに触れてみたい。
という方です。
後述しますが、本書のタイトルがかつて発刊された「こんにちはマイコン」のセルフパロディであるため、私のような80年代初期をコロコロコミックで過ごした元コロコロキッズには響くものがあったかと思います。
そういう意味では本書は「プログラムを勉強したい」少年~青年層から私のようなアラフォー~アラフィフ中年層まで門戸を大きく開けた作品と言えます。
内容ですが、Pythonとは何なのか、どういうことが出来るのか、実際にプログラムを組むにあたっての準備や手順などをゲームセンターあらしのメインキャラ石野あらし、月影一平太、大文字さとるが初めてプログラムに触れる人にも分かりやすいように対話形式で解説していく流れになります。
当然文字数も多くなっていますがゆっくり読めば理解できる平易な文章で書かれているので小学生にも安心。
特に有難かったのは「プログラミングにあたってやりそうなミスをあらしがやって、さとるがフォローする形式」ですね。
実は本書を購入する以前からPythonに取り組んでいるのですが「これの何がミスってんだよ、ムキー!!」ということが何度かありましたので、かようなプログラミングありがち失敗をIQ250のさとるがフォローしてくれるという初心者にも優しい作りになっています。
プログラムの間違っている箇所を探すのは神経すり減りますからね。
そうした点はさておいて、とにかくプログラミングを始めてほしい、触って動かしてほしいという意図を感じる構成でした。
ところで「ゲームセンターあらし」自体は1970年代後半~80年前半の作品であるためさとるの三段リーゼントとか流石にちょっと時代の香りを感じさせるものがありますけど内面は少々アップデートされているのもチェックポイントです。
一平太がスパゲティプログラムにツッコむところはちょっと笑ってしまいました。
読破すればスカッシュゲームまで作れるようになる
本書の構成は第一部でPythonの何たるかとプログラムのルールなどを解説、第二部は実際にゲームを作ってみようという流れになります。
154ページあたりからギアが二段ほど上がるので注意。
ただし直前までの内容で丁寧に解説されていることも多いので、頭がとっ散らかったら少し戻って読み直すことで対処できると思います。
最終的に本作で完成できるのはスカッシュ(壁打ち)ゲームなのですが、このプログラムを基礎として応用的に「ブロックくずし」を作成できることが示唆されており、ここまで学んだことを基礎において更なる学習を進めていくぜ!と締めくくられています。
巻末190ページにはPython公式ページやコミュニティサイトなど今後の学習の手助けになりそうなサイトも掲載されていますのでこの本を読んでENDではなくここからがSTARTだということですね。
「ぼくたちの戦いはこれからだ!」と書くとちょっと不穏な感じになりますけど、要約するとそういうことになりそうです。
ところで作者であるすがやみつる先生は還暦近くになってPythonを学んだというプロフィールが記されており「やっぱり人間生きてるうちは勉強なんだなあ」と気持ちを新たにしました。
ゲームセンターあらしと学ぶプログラミング入門まんが版こんにちはPython /日経BP/すがやみつる
こんにちはマイコンとゲームセンターあらしの思い出
上の方でも書きましたけど本書のタイトルを見て真っ先に連想したのは近いコンセプトで書かれたBASIC入門漫画「こんにちはマイコン」でした。
wikipediaによると1982年刊行。
実際のところ、当時の私はマイコンなんて持てる年でも立場でもなかったためコロコロコミックの広告を見てまだ見ぬパソコン世界に胸を躍らせていたという程度なのですがスッと思い出せる程度には心の楔になっております。
「こんにちはマイコン」でもあらしキャラが講義の担当をしていたようですし。
ところで「ゲームセンターあらし」はある程度物心がついた頃の作品なので全てではありませんが印象的な回がいくつかあります。
タイトルは失念したのですが、小学生にしてゲーム放蕩の限りを尽くすあらしに業を煮やした学校側があらしにゲーム勝負を挑む回。
この回であらしはたった一人で鬼と化した教師五人衆を相手に耐久ゲームバトルへと身を投じるのです。
一日一教師との対戦を基本にどちらかがミスったりするまでゲームを続けなければならないデスレースですが教師側は食事・トイレなどの交代自由。
読んでた当時は「汚ねえ、大人って汚ねえよ!!」と激昂したものですが今にして思えば子供の土俵で戦ってくれる分いい大人だったんじゃないかなという気がしています。
学校の先生なんて激務の合間を縫ってわざわざゲームの特訓を積むって並の努力じゃできない。
「ガキに大人の怖さを思い知らせてやるわ!」という心情もなくはなかったと思いますが、子供の更生に真面目に取り組む大人の姿を見たような気がします。
ゲストキャラで好きなのは必殺技を放つ時に腕の形をカギ形にして大回転し、残像がハーケンクロイツに見えるという今の基準だと結構ギリギリなゲーム戦士のハンス君とか。
あの必殺技メチャカッコいいので一度は見て頂きたいです。
あと、さとるの従妹がしばらく登場していた気はする(髪の毛に神経が通っているかのように自在に動かせる奇っ怪な女)のですが、あの子はいまどこでどうしているのでしょうか。
まとめ
Pythonプログラミングの第一歩を踏み出す時に読みたい一冊。
または令和によみがえったゲームセンターあらしの面々を見たい方向け。
自分が幼少の頃に活躍していた作家先生の精力的な姿を見られることが嬉しいですね。