流行りに乗って観に行ったミーハー中年、平八です。
今夜はタイトルだけで色々と夢が広がる劇場版「若おかみは小学生!」レビューです。
公式サイト:
おっさんなのに人前で泣いてしまった
観に行く前までは若干不安だったんですよ。
ツイッターとかでの評判があまりにも良かったので。
前評判が高い作品だと自分の中で期待も高まるので、実際に観た時期待値より低ければ「なんだ、こんなもんか」となり、正確な判断にならないのではと。
まあ正直序盤で主人公の織子(以下おっこ)ちゃんが両親を亡くしたところで既に目の縁がプルプルしてたんですけど。
主をなくした家をひとりで出て行くシーンはやばい。
しかし本番は静かに訪れるクライマックスでしたね。
旅館・春の屋に訪れる難題を何とかクリアしてああ、よかったよかったと思ったところに衝撃の事実ドーン。
感情の奔流がドッパァーン。
いい年した中年がマンガみたいな泣き方をした。
この感覚は映画をご覧になった方には納得してもらえるとは思うのですが、未見でこの文章を読んでらっしゃる方は「え…なにそれ…その絵怖い…」と思われたのではないでしょうか。
私も自分でそう思ったので、これ以上涙がこぼれないようにと心だけは踏ん張りました。
でも耳をすますと周りのあちこちからすすり泣きが聞こえたり、隣の席のお爺さんもプルプルしてたのが分かったので「ああじゃあもういいかな」って心のブレーキを外したら自分でも引くぐらい涙が出た。
あの劇場の一体感はすごかった。
幸いエンディングのスタッフロールが流れる頃には涙も収まっていたので、幼児を連れた家族連れに紛れながら「まあ、子供向けにしてはいい出来だったんじゃない?」みたいな顔をして出てきたんですけど両隣のお爺さんと女性には気付かれてたと思うのでかなり気恥ずかしかったです。
ただ…劇場を後にした時の爽快感はハンパなかった。
いっそ思い切り泣けたのがプラスに働いたかも知れません。
もしここまで読んで未見の方は、2018年10月7日現在上映中の劇場もありますので、是非とも劇場でご覧になって頂きたいと思います。
そして鬼のように泣いてスッキリしましょう。
ひょうたんから若おかみ
泣いた泣いたばかりではレビューにならないので、ストーリーの話も。
と言ってもタイトルから特に捻りもなく、突然の事故で両親を失ったおっこが祖母・峰子の営む春の屋を継ぐことになるとかならないとか、その最中でいろんな揉め事が起こり、健気に乗り越えていくという少女の成長物語です。
そこに峰子の少女時代の友人・ウリ坊(幽霊)やら秋好旅館の跡継ぎになるはずだった少女・美陽(幽霊)やらが話に絡んで来て「何だこれ色々ちゃんぽんにすると訳が分からなくならないかな」と一抹の不安を覚えました。
ただ、若おかみ宣言はウリ坊なくして起こらなかったわけなので、ストーリー上ものすごく重要な役割を超常的な存在が果たしていることになります。
「何だこの子、イタズラばかりして」と最初の頃は印象の良くなかった美陽も背景を考えると遊びたい盛りの子供が命を落として、その後長く孤独の時間を過ごして来たかと思うと許せてしまうのはいい構成だと思いました。
「もしかしておっこが立ち直るまでの間、何かの力が超常的なモノを見せているのかな」とも思いましたが、タイムリミット問題はおっこがフラッシュバックに悩まされている最中にも起こりましたのでそれほど都合のいい現象では無さそうです。
しかしウリ坊は自分が死ぬ前に仲良くしていた女性が年老いるまで見守り続けた超根性のある幽霊なので今回の件がなくてもいずれおっことは出逢っていたんじゃないかという気はしますね。
出来れば峰子さんが亡くなって同じタイミングで転生するまで待ちたかったんじゃないかと思いますが、是非どこかで幸せを掴んで欲しいと思わせる良キャラでした。
当初は「幽霊がハナクソほじってんじゃねえよ汚ねえな」と印象最悪でしたが見事に覆してくれましたね。
虫の死骸を嫌々扱うおっこに虫にも命があることを諭すところは流石に長く現世にいるだけのことはあると思わされました。
ピンふりはとてもいい子
ピンのフリー雀荘略してピンフリ、と思いながら観ていた汚れた大人がここに居ます。
本当は秋野 真月(まつき)、美陽の妹で秋好旅館の後継者と目され、ピンクフリルが好きすぎることからピンふりと呼ばれる少女です。
まあプライド高くてちょっと意地悪になる傾向があるけど、基本努力家だし環境にも配慮する出来た娘さんだと思いました。
若おかみ界のエリートとしては昨日今日参戦したおっこが気に入らないのか最初から火花バチバチで何かと突っかかって来て、大事な神楽の稽古中ついに両者は直接対決に至ります。
その際印象的だったのは、感情が昂っていたもののピンふりちゃんが指摘する春の屋のウィークポイントは割と理にかなっていた点です。
大体ああいう場面ってただただ相手の欠点を罵り合うだけになりがちなので。
むしろピンふり呼ばわり以外攻め手がないおっこの方がそれはどうなんだと思わされる。
「アンタさっきからピンふりしか言ってねえだろ!あ、まあでも小学生ならそんなもんか…」
結局ピンふりこと真月ちゃんがすごいという結論に。
しかしおっこが困った時は手を差し伸べたり器のデカさを見せるシーンも。
あと彼女が継ぐ予定の秋好旅館が要塞みたいにデカくてちょっと笑いました。
そりゃ春の屋ちっちゃく見えるわ、って妙な説得力がありましたね。
子供目線を意識した段取り
飽きそうなところでファッションショー要素入れるのは上手いと思いました。
時間はいつ頃だったか覚えてないのですが、ちょうど子供が飽きそうな時間帯に華やかなショーを盛り込んできましたね。
ちなみに、おっこが着ていた洋服についてはパンフレットに掲載されてます。
欲を言えばグローリー・水領のファッションも載せて欲しかったんですがね…
まあそうした点も含めて、本来私のようなおっさんはお呼びではなかったのでしょう。
上映時間に関しても個人的にはもう少しあの世界を観ていたかったんですけど、本来のターゲット層が飽きずに見られる時間を考えるとこのくらいが妥当だったんでしょうね。
実際私のいた劇場ではエンディングのスタッフロールで帰りたがってる女児の声が聞こえました。
ただこのスタッフロールも結構凝ってたので我々などは見入ってましたね。
まとめ
成長物語って、いいものですね。
ご両親もサナギのような娘を遺してこの世を去ったのは心残りだったでしょうが、物語中で語られる
花の湯温泉のお湯は誰も拒まない、すべてを受け入れて癒してくれる
本編より
という言葉が祖母から母へ、母から娘へ受け継がれたことでご両親はおっこの中で生き続けると思っています。